大相撲の取組では、その一番に懸賞金がかけられる時があります。
多い時には、片手で持ちきれないほどの懸賞金が出るときもありますよね。
ちょっといやらしい話ですが、その懸賞金の金額って、いったい1本いくらくらいなんでしょうか?
また、そのお金にかかる税金や仕組み、受け取り方の手刀の意味や懸賞金にかかわるお話など、歴史もいろいろ見られます。
今回は、そんな相撲の懸賞金について、あなたが気になっていることをまとめてみました。
相撲の懸賞金の金額は1本いくら?
大相撲を見ていると、なにやら取組前に
- 「永谷園」
- 「Yes」「高須」「クリニック」
- 「タマホーム」
などなど、名前が入った旗を目にすることがありませんか?
例えばこんなのですよね。
これは、
懸賞旗(けんしょうばた)
と呼ばれています。
*正しくは「懸賞幕」というようですが日本相撲協会のホームページにも「懸賞旗」と記載もあるのでどっちでもいいと思います。
懸賞がかけられている取組に、スポンサーや商品名が書かれた懸賞旗を呼出(よびだし)の人が持って土俵の周りを1周します。
これが多ければ多いほど、懸賞金も多くなります。
さて、その懸賞金の金額は1本いくらなのかというと、
このようになっています。
だから、今後消費税が変わるなどがあると、この懸賞金の額も変わると思います。
これがもし10本もあれば、この取組に勝つと62万円もらえることになるんですね。
これはすごい!
と思われるかもしれませんが、実はこの懸賞金にもいろんなお金がかかっていて、税金やら手数料やらいろいろと引かれてしまうのです。
では、相撲の懸賞金には税金はいかほどかかっているのか、ということについて見ていきましょう。
相撲の懸賞金の税金ってどうなってるの?
気になる相撲の懸賞金の金額についてわかったところで、次は税金のお話です。
1本6万2000円を丸々もらえたら力士の人も嬉しいとは思いますが、実はそうもいきません。
やはり税金はかかってくるし、手数料なども取られてしまうのです。
では、その懸賞金にかけられている税金はいくらくらいなのか、また、他の手数料などはどうなっているのかその内訳を見ていきますね。
相撲の懸賞金の内訳
内訳 | 金額 |
勝ち力士本人名義の積立金 および納税充当金 |
26,700円 |
協会手数料 取組表掲載料、場内放送料など |
5,300円 |
勝ち力士の手取り | 30,000円 |
合計 | 62,000円 |
*2017年時
こんな感じですね。
だから10本の懸賞金がかけられていても62万円もらえるわけではなく、手取りでは30万円ということになるんですね。
実際に懸賞の袋に入っているのは一袋3万円になります。
相撲の懸賞金の受け取り方の手刀の意味
さて、この懸賞金のかかった取り組みを勝利すると、そのすべてを勝利力士が手にすることができます。
その際に、受け取り方を見ていると独特の作法がありますよね。
行司が懸賞金を軍配にのせて渡してくれますが、その際に片手を
このように動かして受け取っているのは、
手刀(てがたな)を切る。
と言います。
懸賞金を受け取る際に手刀を切る理由は、
とされていて、それぞれ
- 左が『神産巣日神(かみむすびのかみ)』
- 右が『高御巣日神(たかみむずびのかみ)』
- 真ん中が『天御中主神(あまのみなかぬしのかみ)』
このようになっています。
この手刀は、昭和41年の七月場所から正式に実施されるようになりました。
もともとはこの手刀の作法はなかったようなのですが、無造作に懸賞金をとる様子を
ということで、大関の名寄岩がこれを始めたのがキッカケだと言われています。
その時の手刀の意味は今の解釈とは違って、
「心」
この字を描くということで、手刀の切りかたも
この順番だったと言われています。
懸賞金のあれこれ
懸賞金の条件
この懸賞金は1本62,000円かけられますが、永谷園や高須クリニックなど企業の名前や商品名を目にしますよね。
これはいくつか決まりがあって、個人名では申し込めないようになっています。
また、懸賞金を出すときには、その条件として
- 1日1本以上
- 1場所15本以上
つまり、一つの開催場所で毎日1本は最低でも出さないといけません。
だから、金額にすると93万円は最低でも必要だということです。
まあ個人では出せませんね。
懸賞金の歴史
この懸賞金ですが、実は古くは平安時代までさかのぼると言われています。
この時はお金ではなくて、織物や米が与えられていたようです。
これが戦国時代のあたりになると、弓や弦なども贈られたようですね。
あの有名な織田信長も衣服や太刀などを与えたとされています。
これが江戸時代になると「投げ纏頭(はな)」と呼ばれる、観客の自分の名前入りの羽織やたばこ入れが土俵に投げ込まれていたようです。
これを呼出が拾い勝ち力士に届け、その付け人が投げ主に届けるとご祝儀がもらえるといった流れがあったようです。
ただ、これは旧両国国技館が閉館した明治42年には終わり、昭和30年代から懸賞金制度と変わっていったとされています。
ひいき力士への懸賞金の行方
さて、企業がスポンサーとして懸賞金を出す取組が行われますが、やっぱり企業もひいきにしている力士たちがいるんですね。
つまり、懸賞旗や懸賞金の額が多ければ多いほど、その力士の人気のバロメーターにもなるわけです。
だから、横綱ともなるとかなりの懸賞金がかけられ、平成27年1月場所では、横綱白鵬関が545本も手にした場所でもありました。
545本で手取りが1本3万円なので、545×3万=1635万円!
手取りだけでもとんでもない額を手にされてますね。
そんな懸賞金ですが、絶対にひいきにしている力士に勝ってもらいたいと思うところですよね。
でも、その対戦相手が勝つことだってあります。
そうなると、その企業が出した懸賞金は相手に持っていかれちゃうという事。
だから、あまり人気の無い力士が横綱や大関相手に勝ったりしたら、その取組に懸賞金がかかっていたらそれを全部もらえるということになります。
まあ、なかなかそうはいかないのが相撲ですけどね。
あとがき
相撲の取り組みで出される懸賞金の金額は1本いくらなのか。
また、そのお金にかかる税金や仕組み、受け取り方の手刀の意味など懸賞金についてまとめてみましたがいかがでしたか。
お金のことなのでちょっといやらしいかもしれませんが、やっぱりそこは知っておきたいですよね。
この懸賞金以外にも、力士にはたくさんのお金に関するお話があります。
そんなお金の事情に気になる人は、こちらの記事も結構面白いですよ。
関連ページ
そんな懸賞金ですが、ちょっと変わった懸賞旗が上がったときもありました。
これは元ビートルズのポールマッカートニーさんが相撲観戦されるときに、自分のアルバムの宣伝で懸賞金を出された時の様子です。
このような、ちょっと違和感のある懸賞旗やアナウンスが話題になりました。
相撲通のデーモン閣下もこんな感じで出そうとしたようですが、懸賞旗の出す条件が変わり、政治的利用禁止の観点から個人が特定できるものはダメになったようです。
でも、デーモン閣下のニューアルバム『うただま』と書かれた下に、デーモン閣下の目(アイシャドウ入り)が描かれた旗が登場しました。
これはあくまでデザインということで、個人を特定するものではないと言い張ったそうです(笑)
相撲観戦の際には、こういった懸賞金や懸賞旗にも注目してみると、企業がひいきにしている力士やかかっている懸賞金の額など、いろんな視点から見ることができるので、また違った楽しみ方ができるかもしれませんね。
他にも、相撲にはたくさんの魅力が詰まっています!
そんな大相撲の伝統作法や取組の見どころ、観戦の仕方などをこちらでまとめています。
関連ページより深く楽しむためにも、いろんな情報を手に入れてくださいネ!