衰えの知らない大相撲人気ですが、その力士たちの取組には熱いものを感じますよね。
そんな力士たちの戦いの場となるのが『土俵』です。
でも、この土俵って力士たちが上がると、とても狭く感じてしまいますが、実際土俵の大きさってどのくらいなのでしょうか?
また、この土俵ってどうやって作っているのか?
女性が上がれない理由や土俵ができた歴史など、今回は相撲には欠かせない「土俵の話」について見ていきたいと思います。
土俵の大きさってどのくらいなの?
相撲では欠かせないのが「土俵」ですよね。
この土俵に大きな力士が入ると、とても狭く感じてしまいますが、実際のところその大きさはどのくらいなのでしょうか?
その土俵の大きさについてですが、あの土俵の直径は455㎝(15尺)あります。
結構大きいように感じますが、力士にとってはあの大きさなので狭いでしょうね。
他にも仕切り線の幅は70㎝と、相撲中継でも見ているように相手との距離は目と鼻の先です。
この仕切り線の距離は、昭和45年の5月場所から70㎝になったようですね。(以前は60㎝だったようで、仕切り線自体ができたのは昭和3年)
実はこの仕切り線は、呼出がエナメルペンキで重ね塗りをして書き上げたものなんです。
そんな相撲の土俵ですが、その全体図を真上からの図で見てみましょう。
全体としてはこのような感じになっています。
「徳俵」は俵一つ分ほど外に出ていて、そこはまだ土俵上とみなされるのでちょっとお得な感じがありますね。
徳俵という名前が付いた由来は、まさに「お得だから」ということでこの名前になったんだとか。
実はこの徳俵は、以前は「水はけ」のために、このように一つ分外に出していたのです。
というのも、昔は相撲は野外で行われていたので、土俵上に溜まった水を外に出すためにこのようなことになっていたんです。
そして「蛇の目」と呼ばれている部分がありますが、これは勝負俵の周りに敷かれている砂の部分のことを言います。
これは力士の足跡がしっかりと見えるように、勝敗の判定材料とするために設けられたスペースなんです。
相撲中継を見ていると、取組前に呼出がホウキを使って土俵の周りを丁寧に掃いている姿をよく見ますよね。
上の図にはありませんが、本場所の場合は土俵の高さは66㎝あるようです。
66㎝というとそこそこある高さで、階段の3~4段くらいでしょうか。
落ちて怪我をする力士が多いのもわかる気がします。
土俵の作り方ってどうやっているの?
さて、この土俵ですがいったいどのようにして作っているのか?
結構な大きさなので、一度作ったら残したり使いまわしたりしているのかというとそうではなく、その場所ごとに一から作っています。
では、その土俵の作り方ですが、動画があるのでそれを見てもらうと早いと思います。
「土俵の作り方」
この映像は巡業の際のものなので、土台に発泡スチロールのようなものを使っていますが、本場所の土俵は土台も土です。
地方時の本場所では一からすべて作っていますが、それは各開催場所の近くで厳選された粘土質の土を使っているようですね。
地方の場合は約40tもの土が運ばれていると言います。
両国国技館の場合は、実は前回の土俵が地下に収納されています。
その土俵の上から20㎝ほどを削って新しい土に変えて土俵づくりをするため、約10tほどで済むようです。
動画にもありますが、土俵を作る際に機械は使いません。
基本はクワやスコップ、タコやタタキと言われる土を固める道具などが使われます。
また、ビール瓶を使って固めたりすることが多く、総勢40人ほどですべて手作りで行っているんですね。
この土俵づくりはおよそ3日間はかかると言われており、1日では到底できないんです。
土俵が完成すると。
この土俵が完成すると本場所の初日前日に
土俵祭(方屋開き)
と呼ばれる儀式が執り行われます。
これは、五穀豊穣や国家平安、土俵の無事を祈願するための儀式です。
その様子も映像であります。
「土俵祭の様子」
このように相撲協会の理事長や審判部長、三役以上の力士も立ち会います。
この際に立行司と2人の脇行司によって「鎮め物」と呼ばれるものを土俵の中に埋めます。
その上から新酒をかけて、後で呼出がこれを埋めるという儀式が行われます。
そして、場所中はずっとそのままにされているんです。
鎮め物には、
これらが入っていてどれも結納などで使われるようなめでたいものが選ばれています。
この土俵祭は、実は無料で見学できるので興味のある方はどうぞ。
土俵に女性が上がってはいけないのはどうして?
このように土俵は作られていきますが、女性が土俵に上がることは禁止されているというのはご存知でしょうか。
これも定期的に問題になっていることで、一般客の女性が土俵に上がろうとして新聞に載ったり、2004年に太田房江大阪府知事が知事杯授与を希望しましたが拒否されたりなど、たまにニュースになる事柄です。
女性がこのように土俵に上がることをかたくなに禁止されているのは、
という答えが返ってきます。
じゃあ女性は神聖ではないのか!
こんな答えも返ってきそうですが、これは昔からのしきたりを今も守り続けているからなんですね。
先ほどの土俵祭ですが、これは「神迎えの儀式」とも呼ばれていて、それによって土俵とは、
とされています。
この儀式は250年以上も守られてきたことであり、今も女性が土俵上に上がれないのは、この「伝統を守るため」という理由からきています。
この問題については議論されていますが、結局のところ子供の相撲大会などでは女の子が土俵も上がることもありますし、女相撲というものもあります。
ただ、大相撲だけはこのしきたりを覆すことはありません。
おそらくこのまま、女性は土俵には上げないということは続きそうですけどね。
土俵ができた歴史
相撲というものが始まったときには、土俵といったものは一切なく相手を倒すか地面に膝や手をつかせると勝ちというルールで行われていたようです。
そう言うスタイルは江戸時代の初期まであって、このときには人が取り囲んでその中で相撲を取る
人方屋(ひとかたや)
というスタイルが取られていました。
これがいわゆる戦いのフィールドで今のような「押し出し」とか「寄り切り」とかの決まり手はなかったようです。
相手を地面に転がしたり、人の中に突っ込ますと勝ち。
これが今のような土俵になるには、大きな米俵で土俵を作っていたときや、四角の土俵であったり、4隅に大きな柱があったりなど、いろいろ様変わりして今の土俵に落ち着いたとされています。
参照記事
あとがき
相撲の土俵ってどのくらいの大きさなのか。
またその作り方はどうしているのか。どうして女性は上がれないのかなど、相撲の土俵に関すること歴史とともにまとめましたがいかがでしたか。
相撲には欠かせない土俵には、たくさんの歴史が詰まっていたのですね。
そんな土俵も一から毎回作り直すなんて、知らなかった人も多いと思います。
実はこの土俵ですが、作っているのは「呼出」さんたちなんです。
呼出というと、特に印象的なのが
「ひが~ぁしぃ~、○○」
「にぃ~ぃしぃ~、△△」
この呼び上げですよね。
この人たちって本当に色んな仕事をしていて、呼出がいないと相撲が成り立たないとまで言われています。
土俵上で繰り広げられる力士たちの熱い取組ですが、こういった場所をしっかりと作ってくれる人たちにも感謝ですね。
それにしてもまあ、土俵ってうまいこと考えられていますよね。