相撲の取組がスムーズに進行していくには、呼出(よびだし)の仕事は欠かせません。
呼出というと、特に印象的なのが
「ひが~ぁしぃ~、○○」
「にぃ~ぃしぃ~、△△」
この呼び上げですよね。
呼出の仕事は、この呼び上げを代表とする仕事の他にも、本当に様々なことをされています。
相撲の取組は、この呼出あってこそといってもいいくらいです。
では、その呼出の仕事はどんなことをしているのでしょうか?
また、この呼出になるにはどうすればいいのか、その給料などといっしょに、相撲の名脇役の呼出の仕事について触れていきたいと思います。
相撲の呼出ってどんな仕事をしているの?
相撲中継とかをあまり見ない人にとって
呼出って誰?
って思うかもわかりませんが、一番わかりやすいのが、
と言えばわかりやすいですかね。
よく見るスポンサーの名前が、
- なとり
- 紀文
- 永谷園
これでなんとなくわかる人も多いと思います。
そんな相撲の呼出さんの仕事というと、真っ先に思い浮かぶのが
「ひが~ぁしぃ~、○○」
「にぃ~ぃしぃ~、△△」
と呼びあげる姿は印象的ですね。
この代表的な仕事の他にも、取組の間には様々なことをされています。
テレビで相撲中継を見ているとわかりやすい仕事といえば、
- 懸賞旗を持って土俵上を回る。
- 懸賞金の受け渡し。
- 土俵をホウキではいて整える。
- 拍子木を打って進行を知らせる。
- 力水や塩の用意
- 控え座布団の交換
- 力士にタオルを渡し制限時間を伝える。
これらが見える部分として大きいのではないでしょうか。
0:05くらいまでは呼出が力士を呼び上げしているところですね。
0:20ぐらいには拍子木を打っている姿が見えますね。
0:40くらいでは、力水を付ける際に付き添いされています。
1:30くらいから懸賞旗を持って土俵上を回っています。
同じくして、土俵上をホウキではいて整えていますね。
そして3:10あたりに画面下で赤い大きなものを持っていますが、これが控え座布団です。回収中です。
画面左上でも同じように仕事してますね。
3:23では、画面右下でサッと塩の交換をしています。
この3:30程度の動画の中でも、これだけ呼出はいろんな仕事をしていることがわかりますね。
呼出のいろんな仕事
取組のときにはこういったような、私たちにも見えやすい部分で色んな仕事をされています。
でもやっぱり呼出の仕事はこれだけじゃなく、他にもいろんなことをされているんですね。
例えば、太鼓をたたく仕事です。
本場所や巡業の際に、会場と平常を知らせるために櫓(やぐら)の上で打つ「櫓太鼓」も呼出の仕事になっています。
朝8時に打つ、開場を知らせるのが「寄せ太鼓」
夕方6時に打つ、閉場を知らせるのが「跳ね太鼓」
跳ね太鼓は、
という意味があるので、千秋楽や1日興行では打たれません。
そして土俵祭りの後の「触れ太鼓」という、初日の取組を触れ歩きながら打つ太鼓がありますね。
また、実は土俵を作るのも呼出の仕事で「土俵築(どひょうつき)」といいます。
こういった取組中の仕事は他にもあると思いますが、部屋での雑務もいろいろあるようですね。
相撲の呼出になるにはどうしたらいいのか?
さて、この相撲の世界の呼出になるにはいったいどうすればいいのでしょうか?
普通に面接して就職するの?
それとも、相撲経験者か何か?
色々疑問に思うところはあると思います。
「呼び出し」さんになるには、いくつかの条件が必要になります。
呼出になる条件
- 義務教育を終了した満19歳以上の男子
- 相撲部屋に入門する。
- 親方が「呼出会」を通して相撲協会に申し込む。
- 呼出は定員が「45名」と決まっている。
定員が決まっているので、誰かが退職しないと入れないというのが現状でしょうか。
まずは相撲部屋に入門してからになって、採用は相撲協会が行うから支給される形をとっているようですね。
だから、各相撲部屋では呼出を抱えた状態になっています。
相撲の呼出の給料は?
相撲の呼出の気になる給料ですが、実は呼出にも相撲の番付のようにランク付けされています。
そのランク付けというのが次のようになっています。
- 立呼出し 1名
- 副立呼出し 1名
- 三役呼出し 3名
- 幕内呼出し 7名以内
- 十両呼出し 8名以内
- 幕下呼出し 定員なし
- 三段目呼出し 定員なし
- 序二段呼出し 定員なし
- 序ノロ呼出し 定員なし
これは相撲協会の規定にもあって、
- 新規採用者は三年間見習いとして、養成期間をおく
- 十両呼出:勤続15年以上で優秀な者、または10年以上15年未満で特に成績優秀な者
- 幕内呼出:勤続30年以上で優秀な者、または15年以上30年未満で特に成績優秀な者
- 三役以上:勤続40年以上で優秀な者、または30年以上40年未満で特に成績優秀な者
年に1回、九州場所後に呼出の昇進や降格が編成されます。
財団法人日本相撲協会寄附行為施行細則の第六十八条に呼出の人数について、第八十一条に給料のことについて書かれていますね。
それをまとめると
階級 | 定員 | 給料 |
立呼出 | 1名 | 36万~40万円未満 |
副立呼出 | 1名 | |
三役呼出 | 3名 | |
幕内呼出 | 7名以内 | 20万~36万円未満 |
十両呼出 | 8名以内 | 10万~20万円未満 |
幕下呼出 | 定員なし | 4万2千~10万円未満 |
三段目呼出 | 2万9千~7万円未満 | |
序二段呼出 | 2万~2万9千円未満 | |
序ノロ呼出 | 1万4千~2万円未満 |
*2018年時
このようになっています。
定年は65歳でサラリーマンのような感じですね。
20歳で呼出になったとして、それから30~40年、およそ50~60歳のもうすぐ定年といったところでないと三役呼出にはなれないのですね。
この呼出と同じく、「行司」にもランクがあったり色んな仕事があります。
同じ裏方として活躍する行司にも興味がある方は、こちらの記事もぜひ読んでください。
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あとがき
相撲の呼出はどんな仕事をしているのか。
またその呼出になるにはどうすればいいのか、その給料など、相撲の名脇役の呼出の仕事について触れてきましたがいかがでしたか。
呼出といってもその仕事はたくさんあり、取組中でも目に付くものから、裏方のわからないところまで様々なことをされていたのですね。
相撲の取組はこの呼出があって、初めて成り立つものだと思います。
そんな呼出の仕事で「呼び上げ」について触れましたが、この時に左手をよく見ると、何か白い紙のようなものを持っているのに気づかれましたか?
これって実はカンニングペーパーで、力士の名前を呼び上げるのに間違ってはいけないとのことで、その日の取組表を手のひらサイズに作ったものを持っているようなんですね。
自分の呼び上げが終わったら次の呼出に渡すといったように、順番に引き渡されていくようなので、最後のほうは汗でぐちゃぐちゃになって字が読めないこともあるんだとか。(*元立呼出の秀男の相撲ばなしより)
本場所などは力士の取組がメインですが、こういった名脇役の動きに注目するのもまた違った楽しみができますね。
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