相撲の決まり手の数ってどのくらいあるんだろう?
相撲を見ていると「押し出し」や「上手投げ」、「寄り切り」など、よく技の名前を聞きますよね。
相撲のいろいろなことがわかってくると、この技の名前も自然と理解できるようになってきます。
でも、そんな相撲の決まり手には、いったいどのくらいの数があるのかご存知でしょうか?
よくある技から、「そんな技まであったの?」と思うようなものまで様々です。
今回は、相撲の決まり手の一覧や、珍しい技についてまとめてみました。
相撲の決まり手の数はどのくらいあるの?
相撲観戦していると、よく耳にする決まり手もたくさんあります。
例えば、
- 寄り切り
- 押し出し
- 上手投げ
- 下手投げ
- 突き落とし
- 叩き込み
などなど、よく聞き決まり手ではないでしょうか。
でも実際にはこれらの決まり手以外にも、実は相撲には82もの数の決まり手があると言われています。
中には聞いたことがないような決まり手もたくさんあって、数十年ぶりに飛び出す技なんかもあったりしますね。
そんな相撲の決まり手は、幕内では1場所でおよそ30~40程度だと言われています。
ですので、全体の半分くらいの決まり手で勝負が決していることになります。
主な相撲の決まり手
そんな相撲の決まり手で最も数が多いとされるのが、
四つに組んでから、低い姿勢を維持してすり足で前に出る技ですね。
そのまま土俵際まで追い込んで、外に出せば「寄り切り」となります。
ここで、土俵際で相手が後ろに倒れると「寄り倒し」といった決まり手になります。
そしてもう一つ多い決まり手が
相手の脇の下や脇腹あたりに手(ハズの状態)を当て、そのまま土俵の外に出す技を「押し出し」と言います。
この際に相手を倒すと「押し倒し」といった決まり手になります。
相撲の取組は、実にこの決まり手が全体の半分くらいを占めていると言われています。
寄り切り、押し出しに続く決まり手
それに続いてくるのが、
- 叩き込み
- 突き落とし
- 上手投げ
- 突き出し
- 押し倒し
- 引き落とし
- 寄り倒し
- 送り出し
- すくい投げ
- 下手投げ
- 小手投げ
- 上手出し投げ
だいたいこのような感じでしょうか。
このあたりの決まり手を知っておけば、相撲観戦をより楽しめると思います。
相撲の決まり手数の増加の経緯
1935年(昭和10年)には相撲協会側で、
このように決められていましたが、1955年(昭和30年)に数が増え、68手となりました。
そしてさらに1960年(昭和35年)から70手になりました。
そして近いところで、2001年(平成13年)に決まり手数が82手となりました。
近年の相撲のスピード化や力士の体格の変化もあって、技がどんどん増えてきてるような感じです。
以前は「四十八手(しじゅうはって)」などの言葉があるように、
- 投げ
- 掛け
- 反り
- 捻り
それぞれで12手で合計48手だったと言われていますね。
今も「宇良和輝」のようなレスリングの経験があり、ワールドコンバットゲームスで優勝したような力士がいるので、他にも新しい技が飛び出しそうな感じではありますね。
相撲の決まり手一覧
さて、実際には82手もある相撲の決まり手ですが、しょっちゅう飛び出す決まり手もあれば、数年ぶりに飛び出す技など様々あります。
では、そんな相撲の決まり手の一覧をまとめました。
全部の決まり手は82手ありますが、その種類わけもされているので、それぞれで紹介したいと思います。
相撲の決まり手で別れているのは
- 基本技(7手)
- 投げ手(13手)
- 掛け手(18手)
- 捻り手(19手)
- 反り手(6手)
- 特殊技(19手)
- 非技(5手)
このように分類されています。
では、それぞれまとめた一覧を紹介しますね。
基本技(7手)
- 寄り切り
- 押し出し
- 突き出し
- 寄り倒し
- 押し出し
- 突き倒し
- 浴びせ倒し
投げ手(13手)
- 上手投げ
- 下手投げ
- 小手投げ
- 掬い投げ(すくいなげ)
- 上手出し投げ
- 下手出し投げ
- 腰投げ
- 首投げ
- 一本背負い
- 二丁投げ
- 櫓投げ(やぐらなげ)
- 掛け投げ
- 掴み投げ
掛け手(18手)
- 内掛け
- 外掛け
- ちょん掛け
- 切り返し
- 河津掛け(かわづがけ)
- 蹴返し(けかえし)
- 蹴手繰り(けたぐり)
- 三所攻め
- 渡し込み
- 二枚蹴り
- 小股掬い(こまたすくい)
- 外小股
- 大股
- 褄取り(つまとり)
- 小褄取り
- 足取り
- 裾取り(すそとり)
- 裾払い
捻り手(19手)
- 突き落とし
- 巻き落とし
- とったり
- 逆とったり
- 肩透かし
- 外無双(そとむそう)
- 内無双(うちむそう)
- 頭捻り(ずぶねり)
- 上手捻り
- 下手捻り
- 網打ち
- 鯖折り(さばおり)
- 波離間投げ(はりまなげ)
- 大逆手(おおさかて)
- 腕捻り(かいなひねり)
- 合掌捻り(がっしょうひねり)
- 徳利投げ(とっくりなげ)
- 首捻り
- 小手捻り
反り手(6手)
- 居反り(いぞり)
- 撞木反り(しゅもくぞり)
- 掛け反り
- 襷反り(たすきぞり)
- 外襷反り
- 伝え反り
特殊技(19手)
- 引き落とし
- 引っ掛け
- 叩き込み(はたきこみ)
- 素首落とし(そくびおとし)
- 吊り出し
- 送り吊り出し
- 吊り落とし
- 送り吊り落とし
- 送り出し
- 送り倒し
- 送り投げ
- 送り掛け
- 送り引き落とし
- 割り出し
- うっちゃり
- 極め出し(きめだし)
- 極め倒し
- 後ろもたれ
- 呼び戻し
非技(5手)
- 勇み足(いさみあし)
- 腰砕け
- つき手
- つきひざ
- 踏み出し
こうやってあらためて相撲の決まり手一覧を見てみると、いろんな技がありますが知らないものもかなりあると思います。
相撲の禁じ手
相撲の決まり手にはたくさんありますが、その一方でやってはいけない
禁じ手
これもあります。
何でもかんでもやっていいというわけではなく、相撲道に反するような行為はやはりしてはいけないという事です。
そんな禁じ手にはどんなものがあるの?
こちらもその一覧をまとめました。
相撲の禁じ手一覧
- 握り拳で殴ること。
- 喉をつかむこと。
- 目またはみぞおちなどの急所を突くこと。
- 頭髪をつかむこと。
- 両耳を同時に両手で張ること。
- 前立揮をつかみ、また横から指を入れて引くこと。
- 胸や腹を蹴ること。
- 1指または2指を折り返すこと。
禁じ手にはこの8つの項目があります。
もしこれらの禁じ手を使った場合は、反則負けになってしまうのです。
また、この中の
という項目がありますが、以前は
となっていました。
ただ、これによって勝ちをもぎ取る姿が2000年以降になって増えてきたため、2014年にこの「故意に」の部分の削除が承認されました。
まあ、どれを見ても危険ですしフェアな取組にはならないですよね。
ファンもこんな相撲を見たいわけではなく、正々堂々とぶつかり合う姿が見たいわけです。
相撲の決まり手で珍しい技は?
先ほど82手もの相撲の決まり手一覧を見てもらいました。
また、その決まり手のほとんどが「寄り切り」や「押し出し」といった基本技が中心となる中で、数年、数十年に一度出るか出ないかといったような珍しい技もあります。
近いところで言うと、先ほども名前が挙がった「宇良和輝」がやってくれました。
この取組で襷反り(たすき反り)という技が飛び出しました。
この技は十両以上の取り組みで決まったのは、なんと1960年1月に決まり手が制定されて以来初めて飛び出した技だったんです。
実は、その前にも、同場所2日目の青狼との対戦
ここでも滅多に出ない「首ひねり」という技が飛び出しているんです。
この宇良という力士は、今までめったに出なかった技をこれからいくつも披露してくれるのではないかと期待されていますね。
相手の脇の下に頭を入れて、片手で相手の足を内側からとり、タスキをかけるよう相手を肩に担いで後方に落とす技。
伝え反り(つたえぞり)
伝え反り(つたえぞり)とは、差してきた相手の手首あたりをつかみ、相手の脇の下を潜り抜け、相手を後ろに反り倒す技。
2000年に決まり手に制定されてから以降、2017年時で幕内では1回だけしかこの決まり手が記録されていません。
ここで朝青龍が貴ノ浪に対し決めた技です。
一本背負い(いっぽんぜおい)
柔道でもよく耳にする一本背負いは、相撲の世界にもあります。
釣り手で相手の腕を掴むか挟み込んで、相手を背負い上げて投げる技
柔道では見られても、相撲ではほとんど見られない決まり手の一つとなっています。
この一番で飛び出しています。
また、2011年9月場所の「磋牙司 vs 栃乃若」
ここでも出ていますが、だいたい3~5年に一回ぐらいしか出ない技だと言われています。
櫓投げ(やぐらなげ)
両手で廻しを取って相手の体を十分に引きつけ、膝を相手の内股に入れて太ももに相手の体を乗せ、吊りぎみに持ち上げてから振るように投げ落とす技。
これもめったに出ない技でしたが、
ここで実に1975年以来、34年ぶりに朝青龍がこの技を決めました。
横綱対大関の一戦でもあり、かなりすごい取組ですね。
その後、横綱白鵬が2015年11月場所で、隠岐の海を相手に櫓投げを繰り出しています。
つかみ投げ
相手の後ろ回しを取ります、そして抱きかかえながら投げる技です。
なんか普通に出ていそうな名前ですが、実はかなり珍しい決まり手。
かける側とかけられる側に、圧倒的な体格差がないと難しいとされている技。
ここでこの決まり手が出ましたが、本場所では2017年1月終了時点で1957年以降まだ出ていないようです。
居反り(いぞり)
相手が攻めてきたときに懐に入り、体制を低くし相手の膝を抱えながら後方に反り返り投げる技。
一番近いところで、居反りは幕内では
十両では
これも宇良和輝が得意としている技なので、これから飛び出す機会が来るかもしれません。
これらは幕下以下では出ているケースもありますが、今回は十両以上で珍しい決まり技として紹介させてもらいました。(*2017年1月場所終了時のデータです。)
あとがき
相撲の決まり手の数はどのくらいあるのか。
また珍しい技など一覧も含めまとめてみましたがいかがでしたか。
相撲には決まり手の数が、これだけ多くもあったのです。
実際には見たこともない珍しい技も多いですが、そういう技が出たときはちょっと盛り上がりますよね。
相撲観戦の際には、まずはよく出る決まり手を覚えてもらうといいと思います。
それがわかってきたら、こういう珍しい技もあるんだなというように、知っておくだけでいいと思います。
奥の深い相撲ですが、こうやっていろいろわかってくると面白いので、決まり手にも注目しながら観戦を楽しみましょうね。
普段からこういった練習や、この取組の流れだとこっちに来そうだとか、色々感じながらされているんでしょうね。
他にも、相撲にはたくさんの魅力が詰まっています!
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