私たちはふだん「満年齢」で年齢を数えています。
例えば、2000年生まれの人は2020年になって誕生日を迎えると、20歳になりますよね。
でも、「数え年の場合」には、これが「21歳」と変わってくるのです。(*厳密には少し違いますけど。)
今はこんな数え方はしないのに、どうして「数え年」という概念が残っているのかというと、「厄年」「長寿祝い」「七五三」などで使われることが多いからです。
では、
この数え年とはいったいどういう意味があるのでしょうか?
今回は、この「数え年の年齢の数え方」と「満年齢との違い」を中心にまとめました。
ふだん見慣れない数え年について見ていくと、ちょっと面白いこともわかりますので、いっしょに見ていきましょう。
数え年とはどういう意味なの?
私たちって、ふだんは数え年で年齢を数えることはまずないですよね。
この数え年とは、生まれた年を「1歳」「1年」とする数え方なんですね。
数え年の考え方では、
ということで、「生まれたときには1歳からスタートする」という意味が込められていると言われていますね。
また、「昭和0年」とか「平成0年」とかがないのと同じ考えで、始まりは1年からスタートするという意味も含まれています。
数え年の数え方って?
この数え年では、
1月1日の元旦を迎えると1歳増える。
このような数え方なんです。
だから数え年では、誕生日がいつだろうと全員1月1日になると1歳増えていたことになるんですね。
例えば、あなたの誕生日が2000年5月20日としましょう。
そして、今が2017年の5月31日とします。
すると、すでに誕生日を迎えているので、満年齢で言うと17歳ですよね。
これは、数え年の場合だと
という事になります。
どうしてこんな数え方をしていたのかというと、国の制度や行事などに当てはまる年齢が、誕生日の日付で考えると個人個人いろいろとややこしくなるといった考えがあったからのようです。
今だと、満年齢の数え方でそんな不便さはあまり感じないですけどね。
また、昔では暦の計算に「太陰太陽暦」を使っていて、これによって1年の長さがだいぶ変わっていたんです。
この暦を使うとズレがかなり生じて、閏年(うるうどし)のような日が1年の中に1ヶ月くらいある年もあったようなんですね。
だから、満年齢で数えるとしたら誕生日を迎えられない人が多かったんです。
そんな配慮もあってか、1月1日に1歳増やすような数え方をしようという事で、数え年の数え方が採用されていたと考えられていますね。
1月1日生まれが多い理由のさまざまな憶測
さて、この数え年で言うと生まれた時点で1歳ですよね。
ということは、
それで、数え年では1月1日に1歳増えますよね。
すると、1日経っただけでその赤ちゃんは2歳になってしまったんです!
これって結構問題ですよね。
だって、いきなり2歳になると学年でも不利ですよね。また、課税対象にもすぐなるし。
だから昔の人って12月生まれだと、「1月1日生まれ」っていうように出生届を出した人が多いと考えられています。
12月1日生まれだとしても、1ヶ月もしたら1歳プラスになっちゃいますからね。
出生届に関して、そこまで厳しく管理されていなかったという事が言われており、日にちをずらして届け出していたということも聞かれます。
また、縁起がいいという事で1月1日生まれにしたという事もよく言われています。
生まれてすぐ「この子、昨日生まれたけどもう2歳なんです・・・。」なんて、違和感しか残らないですしね。
数え年の年齢の数え方と満年齢との違いは?
さて、数え年とは生まれた生まれた年を「1歳」「1年」とする数え方でしたが、いま私たちが使っている「満年齢」とどう違うのか?
あなたもご存知だとは思いますが、比べるために改めて書いていきますね。
満年齢とは、生まれた時点を0歳として、誕生日を迎えるごとに1歳増える年齢の数え方です。
だから、
って言われたら
これを書けばいいわけです。
これに対して数え年の場合は、
これを書くことになります。
満年齢になった理由は?
日本ではずっと数え年が使わていましたが、
1902年12月22日施行の「年齢計算ニ関スル法律(明治35年12月2日 法律第50号)」
これを境に満年齢を使用するように決められました。
でも、今でも数え年の考えが残っているくらいなんで、昔の人もそんなすぐに対応できなかったんですね。
だからずっと数え年が使われていたのですが、戦後の急速な発展や国際化に向けて、
1950年1月1日施行の「年齢のとなえ方に関する法律(昭和24年5月24日 法律第96号)」
これによって満年齢の使用を義務付けられました。
また、何かしらの理由で数え年を使う場合は、きちんと書かないといけなかったようです。
先ほどのお話で少しさせてもらった、「赤ちゃんの出生の話」にもあるように、出生届の日付もあいまいだったから、このへんをきちんとする意味もあったようですね。
「満年齢+2歳」って見ることあるけどこれは何?
たまに、ネット上でも
なんてケースを見ることがありますが、これは、あなたが誕生日を迎えているかいないかの違いだけです。
例えば、あなたの誕生日が「2000年5月20日」だとしましょう。
そして今が、2017年4月15日とします。
満年齢は16歳ですよね。
でも、これは数え年だと18歳になります。
すると、満年齢+2歳ですよね。
誕生日を迎えているか、そうでないかで「+1歳なのか」「+2歳なのか」が違うだけのことですね。
閏年生まれの人って?
4年に一回の閏年(うるうどし)に現れる、2月29日(閏日)生まれの人は、その前日である2月28日に誕生日を迎えるようにして年齢を数えるようにしています。
正確には「2月28日が満了した時点で年齢が加算される」とあります。
民法上では「年齢を重ねるタイミング」は、誕生日当日ではなくて誕生日前日の深夜12時となっているからなんですね。
厄年や長寿祝いと数え年について
さて、この数え年がよく用いられるのが「厄年」や「長寿祝い」の年齢を見るときですね。
七五三でも数え年は使われますが、今はもう満年齢でも好きな方でいいように捉えられています。
関連ページ七五三って、実は時期がけっこうアバウトだったりします。
あなたのお子さんが、どの時期に七五三のお祝いをしたらいいのか見ておきたい人は、ぜひご覧になって下さい。
厄年や長寿祝いと数え年について
また、厄年についても、最近では満年齢になってから厄払いを考えている人も現れているので、あなたの考えるほうでいいと思います。
厄年についての年齢を詳しく知りたい方は、ぜひこちらのページも読んでくださいね。
関連ページ>>厄年の前厄、後厄、本厄っていったい何なの?一覧表で意外な事実も!
特に「女性の30代」は気を付けたほうがいいかも、ですよ。
還暦や古希、喜寿といった「長寿祝い」も数え年なのか満年齢なのか迷われる人も多いと思います。
長寿祝いの詳しい年齢については、こちらで一覧にまとめているのでご覧になってもらうとすぐにわかると思います。
関連ページこの長寿祝いに関しては、数え年に慣れ親しんでいた年齢の方も多いので、今でも数え年でお祝いするといった習慣は根強いですね
ただ、これも時代の流れか、皇室では天皇皇后両陛下の満70歳の誕生日を迎えて古稀のお祝いをされています。
だから、もし数え年でお祝いしなくて、おじいちゃんおばあちゃんが機嫌が悪くなったなんてことがあったとしても、
というように説明したら、機嫌を損ねられたとしても悪い気はしないんじゃないでしょうか。
あとがき
数え年とはどういう意味があるのか、また、その年齢の数え方や満年齢との違いについて見てきましたがいかがでしたか。
時代の流れとともに数え年という考えも徐々に薄れては来ていますが、やはりまだ根強く風習として残っています。
これについては地域やあなたの家庭によっても違うと思うので、それに従っていただくといいのではないかと思います。
ちなみに、私の父も1月1日生まれという事になっています。
実際には12月生まれなんだそうですが、やっぱり先ほど書いたようにいろいろと1月1日のほうが都合がいい、めでたいという事だったらしいですね。
でも、1月1日だったら、誕生日祝いとか誕生日プレゼントとかお正月と重なってもったいなくない?
なんて思っていたのですが、この数え年の考えでは今のように「誕生日を祝う」という事はあまりなかったようなんです。
1月1日に一斉にみんな+1歳されるので、そういう風習はなかったんだとか。
これは父に聞いた話でもあるし、きちんと誕生日祝いがあった説もあるので真偽のほどはどこまでなのかわかりませんが、今の満年齢の考えだとすごい不思議に思ってしまいますね。