風邪の中でも、下痢や嘔吐などの症状が現れる風邪を
胃腸風邪
と呼ぶ場合があります。
この胃腸風邪について、人から人にうつると言った可能性やその原因、感染経路、そして潜伏期間などについて知ることで、予防や対処に役立ててもらえればと思います。
胃腸風邪の感染とはどのようなものなの?
まずは、胃腸風邪は人から人へと言った感染はするのでしょうか?
それともそれ以外での感染があるのか?
ということについて見ていきたいと思います。
胃腸風邪
というのは病名ではなくて通名のような呼ばれ方として使われており、正式には
感染性胃腸炎はその名の通り、感染することで起こる胃腸炎なのでウイルスや細菌に感染することで腹痛や下痢、嘔吐などの症状を発症する病気です。
しかし、この感染性胃腸炎では熱や咳などよりも主に胃腸の症状が出やすく、ウイルス性は冬場に流行しやすく、細菌性は夏場に流行しやすいということが認識としてあります。
この胃腸風邪の原因には、あなたが一度は聞いたことのあるような
- ノロウイルス
- サルモネラ菌
といったようなウイルスや細菌がもたらす病気です。
では、次にこのような胃腸風邪の原因について見ていきましょう。
胃腸風邪の原因はなに?
胃腸風邪の原因はおもに2つ考えられ、
- ウイルス性胃腸炎
- 細菌性胃腸炎
この感染原因が考えられます。
ウイルス性胃腸炎の原因となるウイルスは以下のようなものです。
一方の細菌性胃腸炎の原因となる細菌は以下のようなものです。
あなたもこれらの名前を聞いたことがあると思いますが、これらの多くは食中毒として聞いたのではないでしょうか。
一般的に細菌性胃腸炎が「食中毒」と呼ばれるもので、このように感染性胃腸炎の中に食中毒も含まれています。
ノロウイルスのようなウイルスは嘔吐物などに含まれているウイルスから空気感染しますが、細菌性胃腸炎の原因となる腸炎ビブリオ、O-157などは空気感染はしません。
ロタウイルスは乳幼児の急性重症胃腸炎の主な原因ウイルスとして有名で、5歳くらいまでにほとんどの人がかかるとされています。
大人の場合にはロタウイルスの感染を何度も経験しているため、ほとんど症状が出ないとされています。
胃腸風邪といってもその原因は様々あり、それぞれによって症状や感染経路、潜伏期間も違います。
では次に、それぞれ主な原因のウイルスや細菌でどんな違いがあるのか表にしてまとめてみました。
胃腸風邪の潜伏期間はどのくらいなの?
胃腸風邪の潜伏期間には様々あり、早いもので30分というのもありますが、一般的には
このくらいの潜伏期間の後、腹痛や下痢、嘔吐といった症状が現れます。
私達がよく聞くウイルスや細菌について紹介すると、それぞれの胃腸風邪の潜伏期間は次のようになっています。
【胃腸風邪の潜伏期間や主な症状】
潜伏期間 | 主な症状 | 主な感染経路 | |
ロタウイルス | 2~4日 | 嘔吐、腹痛 下痢 |
経口感染 |
ノロウイルス | 24~48時間 | 嘔吐、腹痛 下痢、発熱 |
経口感染 二枚貝 (牡蠣、あさり) |
サルモネラ菌 | 12~48時間 | 腹痛、下痢 発熱 |
生卵、生の鶏肉 |
カンピロバクター | 1~7日 (平均2~3日) |
腹痛、下痢 発熱 |
レバー、刺身 |
O-157 | 48時間~10日 | 嘔吐、腹痛 血便 |
生肉、レバー |
腸炎ビブリオ | 8~24時間 | 腹痛、下痢 | 魚介類、刺身 寿司 |
おもなウイルスや細菌でこのような潜伏期間や原因、症状があります。
このように食中毒に分類されるものは食べ物からの感染、ウイルスは経口感染が主な感染経路となっています。
*ノロウイルスは食べ物からも感染するし、空気感染もするためこの中では少し特殊かもしれません。
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あとがき
胃腸風邪には様々な感染経路や潜伏期間があることがわかったのではないかと思います。これらはよくニュースにもなり、焼肉店などでも生レバーの提供で問題になりましたね。
これらの予防方法としては、主な原因になるものを食べないようにすることが一番ですが、刺し身や寿司などは好まれる料理なので、全く口にしないというのは難しいでしょう。
ですので、あなたが出来ることは
「食べ物の管理をきちんとする。」
ということが鉄則になります。
厚生労働省のホームページにも掲載されていることですが、
- 食品の購入
- 家庭での保存
- 下準備
- 調理
- 食事
- 残った食品
この6つのポイントに気をつけることが予防につながります。
ポイント1 :食品の購入ポイント 2: 家庭での保存
- 肉、魚、野菜などの生鮮食品は新鮮な物を購入しましょう。
- 表示のある食品は、消費期限などを確認し、購入しましょう。
- 購入した食品は、肉汁や魚などの水分がもれないようにビニール袋などにそれぞれ分けて包み、持ち帰りましょう。
- 特に、生鮮食品などのように冷蔵や冷凍などの温度管理の必要な食品の購入は、買い物の最後にし、購入したら早めに帰るようにしましょう。
- 冷蔵や冷凍の必要な食品は、持ち帰ったら、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れましょう。
- 冷蔵庫や冷凍庫の詰めすぎに注意しましょう。めやすは、冷蔵庫や冷凍庫の7割程度です。
- 冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下に維持することがめやすです。温度計を使って時々温度を計るとよいでしょう。細菌の多くは、10℃では増殖がゆっくりとなり、-15℃では増殖が停止しています。
しかし、細菌が死ぬわけではありません。早めに使いきるようにしましょう。
ポイント 3 :下準備
- 肉や魚などは、ビニール袋や容器に入れ、冷蔵庫の中の他の食品に肉汁などがかからないようにしましょう。
- 肉、魚、卵などを取り扱う時は、取り扱う前と後に必ず手を洗いましょう。
簡単なことですが、細菌汚染を防ぐ良い方法です。- 食品を流し台の下に保存する場合は、水漏れなどに注意しましょう。
ポイント 4:調理
- 台所を見渡してみましょう。
ゴミはきちんと捨ててありますか?
タオルやふきんは清潔なものと交換してありますか?
せっけんは用意してありますか?調理台の上は かたづけて広く使えるようになっていますか?もう一度、チェックをしましょう。- 井戸水を使用している家庭では、水質に十分注意してください。
- 手を洗いましょう。
- 生の肉、魚、卵を取り扱った後には、手を洗いましょう。
途中でペット等動物に触ったり、トイレに行ったり、おむつを交換したり、鼻をかんだりした後の手洗いも大切です。- 生の肉や魚などの汁が、果物やサラダなど生で食べる物や調理の済んだ食品にかからないようにしましょう。
- 生の肉や魚を切った後、その包丁やまな板を洗わずに、続けて果物や野菜など生で食べる食品や調理の終わった食品を切ることはやめましょう。生の肉や魚を切った包丁やまな板は、洗ってから熱湯をかけたのち使うことが大切です。
包丁やまな板は、肉用、魚用、野菜用と別々にそろえて、使い分けるとさらに安全です。- ラップしてある野菜やカット野菜もよく洗いましょう。
- 冷凍食品など凍結している食品を調理台に放置したまま解凍するのはやめましょう。室温で解凍すると、食中毒菌が増える場合があります。
解凍は冷蔵庫の中や電子レンジで行うとよいでしょう。また、水を使って解凍する場合には、気密性の容器に入れ、流水を使います。- 料理に使う分だけ解凍し、解凍が終わったらすぐ調理しましょう。
解凍した食品をやっぱり使わないからといって、冷凍や解凍を繰り返すのは危険です。冷凍や解凍を繰り返すと食中毒菌が増殖したりする場合もあります。- 包丁、食器、まな板、ふきん、たわし、スポンジなどは、使った後すぐに、洗剤と流水で良く洗いましょう。ふきんのよごれがひどい時には、清潔なものと交換しましょう。漂白剤に1晩つけ込むと消毒効果があります。
包丁、食器、まな板などは、洗った後、熱湯をかけたりすると消毒効果があります。たわしやスポンジは、煮沸すればなお確かです。ポイント 5:食事
- 調理を始める前にもう一度、台所を見渡してみましょう。
下準備で台所がよごれていませんか?タオルやふきんは乾いて清潔なものと交換しましょう。そして、手を洗いましょう。- 加熱して調理する食品は十分に加熱しましょう。
加熱を十分に行うことで、もし、食中毒菌がいたとしても殺菌することができます。めやすは、中心部の温度が75℃で1分間以上加熱することです。
料理を途中でやめてそのまま室温に放置すると、細菌が食品に付いたり、増えたりします。途中でやめるような時は、冷蔵庫に入れましょう。
再び調理をするときは、十分に加熱しましょう。- 電子レンジを使う場合は、電子レンジ用の容器、ふたを使い、調理時間に気を付け、熱の伝わりにくい物は、時々かき混ぜることも必要です。
ポイント 6:残った食品
- 食事の前には手を洗いましょう。
- 清潔な手で、清潔な器具を使い、清潔な食器に盛りつけましょう。
- 温かく食べる料理は温かく、冷やして食べる料理は冷たくしておきましょう。めやすは、温かい料理は65℃以上、冷やして食べる料理は10℃以下です。
- 調理前の食品や調理後の食品は、室温に長く放置してはいけません。 例えば、O157は室温でも15~20分で2倍に増えます。
- 乳幼児やお年寄りのO157などの腸管出血性大腸菌感染症は症状が 重くなりやすく、死亡率も高くなります。これらの年齢層の人々には加 熱が十分でない食肉などを食べさせないようにした方が安全です。
- 残った食品を扱う前にも手を洗いましょう。
残った食品はきれいな器具、皿を使って保存しましょう。- 残った食品は早く冷えるように浅い容器に小分けして保存しましょう。
- 時間が経ち過ぎたら、思い切って捨てましょう。
- 残った食品を温め直す時も十分に加熱しましょう。めやすは75℃以上です。
味噌汁やスープなどは沸騰するまで加熱しましょう。- ちょっとでも怪しいと思ったら、食べずに捨てましょう。口に入れるのは、やめましょう。
食中毒予防の三原則は、食中毒菌を「付けない、増やさない、殺す」です。
「6つのポイント」はこの三原則から成っています。厚生労働省ホームページ 腸管出血性大腸菌Q&Aより
http://www1.mhlw.go.jp/o-157/o157q_a/index.html#q14
これらを守って安全な食事を心がけてくださいね。