今や、伝達ツールはメールやLINEが主流の世の中となっていますね。
でも、手紙には手紙の良さがあり、まだまだ暑中お見舞いや年賀状、お中元やお歳暮の送り状など、様々な場面で使われていると思います。
そんなお手紙を送る際に、最初の書き出しの言葉として、
「拝啓」
という言葉がありますよね。
などといった前文を目にしたこともよくあると思います。
よく使われる言葉だけに、その意味も知っているように思いがちですが、意外とよくわからないまま、
こんな感じで使っていませんか。
では、この拝啓の意味って一体何なのでしょうか?
そして、この拝啓の使い方や結語に来る言葉など、その書き方も含めこの機会に見ていきましょう。
拝啓ってどんな意味なの?
さて、手紙でも特に多く使われる「拝啓」という言葉。
アンジェラ・アキさんの歌にも、
「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」
なんて曲もあって、手紙を書かない人でもどこかで目にしたことはあると思います。
この拝啓という言葉は「頭語」と呼ばれ、相手や用件によって変わってきます。
そして拝啓という頭語は、
謹んで申し上げます。
という意味になります。
この漢字の意味を考えると、もっとわかりやすくなるかもしれません。
それぞれの漢字の意味を見てみると、
拝:おじぎ・おがむ(つつしんで)
啓:もうす・述べる(申し上げる)
ですので、初めて手紙を出す人や目上の人、ビジネスの場面などでは重宝する言葉となっています。
拝啓よりもさらに強い「謹啓」
この拝啓の意味は「謹んで申し上げます。」という意味でしたが、それよりもさらに丁寧な手紙にしたい場合は、
謹啓
という頭語を使います。
言葉で表すと、こちらも「謹んで申し上げます。」となって同じなのですが、その言葉の中の意味が違ってきます。
目上の人でも、地位の高い人などに送る場合にはこちらを選ぶ場合もありますね。
この時の結語は「謹言」となります。
友達などによく使われる「前略」との違い
その一方で、
前略~
という形もよく目にすると思いますが、これは友達やプライベートなどの場面で使う頭語です。
前略の意味は
という事を言っています。
だから、目上の人などには使うのは失礼なので止めておきましょうね。
この前略についての意味や使い方は、こちらでまとめています。
関連ページ前略ってどんな意味なの?その使い方や結語にくる言葉は?書き方
また、参考にしてくださいね。
拝啓の使い方は?
手紙にはある程度決まった形があって
- 前文
- 主文
- 末文
- 後付け
この4つのブロックで構成されることが多くなっています。
この「1.前文」には、
- 頭語
- 時候の挨拶
- 安否の挨拶
という3つで構成されるのですが、さきほどの「前略」はこの3つを省略することになります。
だから目上の人やビジネスの場面などでは、失礼にあたるんですね。
この拝啓の使い方は、
これにあたります。
わかりやすく例文を用意してみますね。
拝啓を使った例文
拝啓 師走の候、皆様におかれましてはますますご健勝のことと存じます。おかげ様で、家族一同元気に過ごせております。
この度は結構なお歳暮の品を頂戴し、誠に有難うございました。
家族一同大喜びで、豪華な食事を数日間堪能させていただきました。いつもお心遣い、本当に感謝いたしております。
寒さ厳しき折、お風邪など召しませんようにお気をつけ下さい。
まずはお礼のみにて、失礼いたします。
敬具
(右端ぞろえにする)
例えば、仕事先の上司からお歳暮の品をいただいた時のお礼の手紙というシチュエーションで、例文を書いてみました。
拝啓の使い方は簡単で、文の一番最初書くといいですね。
使い方はこれだけです。
拝啓の後はひと文字空けて、時候の挨拶へと繋げていけばいいでしょう。
そして、必ず最後は「敬具」として文を締めます。
次は、拝啓と必ずセットになる「敬具」について見ていきますね。
拝啓の結語って何?
もう結論は先ほど言ったとおりですが、拝啓の結語(締めの言葉)は
敬具
という言葉になります。
これは必ずセットになるので、
拝啓-敬具
というように覚えておくと面倒がありません。
今回は拝啓という頭語を中心にまとめていますが、この拝啓と同じく
- 拝呈
- 啓上
- 拝進
という言葉を使っても構いません。
また、結語も
- 敬具
- 敬白
- 拝具
というように用意されています。
でもまあ、ほとんどの場合は拝啓と敬具のセットで問題ないと思います。
「敬具」の意味は?
拝啓の結語にあたるのが敬具ですが、この敬具にもきちんと意味があります。
敬具は締めの言葉として
謹んで申し上げました。
という意味をもっています。
拝啓とセットで合わせると、
拝啓:謹んで申し上げます。
敬具:謹んで申し上げました。
このようになりますね。
これもそれぞれの漢字の意味を見ていくと、
敬:心よりうやまう(つつしんで)
具:伴う・述べる(申し上げました)
このようになります。
拝啓からの文の流れを考えると、こうやって敬具で文を締めるというのは、しっかりと形になっていますね。
拝啓や敬具の使い方について、縦書きと横書きのパターンでどのようになるのか?
実際に使った手紙の様子を別のページで載せてます。
例文と合わせて確認できるので、ぜひ参考にしてください。
「かしこ」は女性特有の言い回し
また、この結語に
かしこ
という言葉で締める手紙もよく目にすると思います。
この「かしこ」というのは女性特有の言い回しであって、男性が使うものではありません。
また、「かしこ」はとても便利がよく、他のどの頭語でもだいたい使うことができます。
ただし、それ故に使い方を間違えると失礼になるケースもあるので、使い方には気を付けましょう。
例えば、ビジネスの文章などで「かしこ」を使うのは適当ではないと考えられています。
やはり、ある程度マナーは守って頭語と結語を使うようにしたいですね。
あとがき
拝啓にはどんな意味があるのか。
また、その使い方や結語に来る言葉は何なのか、拝啓の書き方をみて手紙の構成を考えてみましたがいかがでしたか。
よく使う言葉だけに、キッチリとその意味を理解して使いたいですね。
このような、「頭語」と「結語」について詳しくはこちらのページでもまとめています。
関連ページいろんな形があって、見てみると面白いですよ。
色々と決まりがありますが、機会があれば使ってみてくださいね。