夏場になると、特に話題にもなる怖い症状が熱中症です。
その熱中症では、脱水症状やめまい、頭痛や吐き気、意識を失うなどいろんな症状が現れますが、その中に「下痢や腹痛」といった熱中症の症状があります。
あまり聞きなれないかもしれませんが、実は熱中症でこういったお腹の不調を訴える人も少なくありません。
ただ、熱中症が原因で下痢や腹痛になっているのかどうか、わかりにくい面もありますよね。
では、どうして熱中症で下痢や腹痛などお腹の不調が現れるのか、その原因と対処方法、そしてなかなか治らない時はどうすればいいのか?
今回は、熱中症の下痢や腹痛についてまとめました。
熱中症で下痢や腹痛が起こる原因は?
熱中症と聞くと脱水症状やめまい、頭痛や吐き気などの症状を思い浮かべやすいですが、実は下痢や腹痛といったお腹の不調にも現れます。
その場合に「吐き気やおう吐」なども伴うことが多いようですね。
吐き気や嘔吐がある場合は、環境省の熱中症の分類でも書かれていますが、Ⅱ度に分類され、意外と症状としては重いという判断がされています。
熱中症の症状の分類
分類 | 症状 | 重症度 |
Ⅰ度 | めまい・失神 「立ちくらみ」という状態で、脳への血流が瞬間的に不充分になったことを示し、“熱失神”と呼ぶこともあります。 筋肉痛・筋肉の硬直 筋肉の「こむら返り」のことで、その部分の痛みを伴います。 発汗に伴う塩分(ナトリウムなど)の欠乏により生じます 手足のしびれ・気分の不快 |
小 |
Ⅱ度 | 頭痛・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感 体がぐったりする、力が入らないなどがあり、「いつもと様子が違う」程度のごく軽い意識障害を認めることがあります。 |
中 |
Ⅲ度 | Ⅱ度の症状に加え、意識障害・けいれん・手足の運動障害 呼びかけや刺激への反応がおかしい、体にガクガクとひきつけがある(全身のけいれん)、真直ぐ走れない・歩けないなど。 高体温 体に触ると熱いという感触です。 肝機能異常、腎機能障害、血液凝固障害 これらは、医療機関での採血により判明します |
高 |
環境省:熱中症健康保険マニュアル参照
http://www.wbgt.env.go.jp/pdf/envman/full.pdf
吐き気や嘔吐が伴って、下痢や腹痛を感じるのであればそれは熱中症かもしれません。
熱中症になる原因には、汗を大量にかいたり体温調節がうまくできなかったりなどがありますが、汗を大量にかくことで体内の水分量が減り、塩分とのバランスが崩れてしまいます。
塩分とのバランスが崩れると、体はそれを調整しようとする働きが生まれ喉の渇きを訴えるようになります。
ただ、そこでうまく塩分と水分が補給されず、水分だけしかとらないようなことがあると、それは体には必要ない水分と判断され、下痢や嘔吐として体外に放出しようとする働きが生まれるという流れです。
だから、汗を大量にかいて水分補給する際には、塩分と水分のバランスも大事だということです。
そこで、塩分を適量含むスポーツドリンクが熱中症予防には向いていると言われるんですね。
ややこしい熱中症が原因の下痢や腹痛
ただ、ちょっとややこしいのが、熱中症以外が原因の下痢や腹痛もあるということです。
例えば、この時期には「夏バテ」という可能性もあって、夏バテしている時も下痢や腹痛になるケースがあります。
それは「食生活による夏バテ」ですが、夏の暑さで飲み物ばかり飲んでしまうと、食事をたべなくなり必要な栄養素が取れないことも起きます。
また、食欲がないからといって、そうめんや冷やし中華など食べやすい物ばかりに偏ったり、ほとんど野菜をとらないことも栄養バランスが崩れ、疲労回復が遅くなったりすることも指摘されています。
そうなってくると胃が弱り、消化器の機能も低下してしまったりして便秘や下痢にもなりやすいことが考えられますね。
最近、夏バテで元気がない人はこちらをどうぞ
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熱中症と食中毒の症状
そしてもう一つややこしいのが「食中毒」です。
この食中毒も下痢や腹痛、吐き気といった症状が代表的ですよね。
夏場は食べ物が傷みやすいですし、菌も繁殖しやすい環境になっています。
- O-157
- カンピロバクター
- サルモネラ菌
こういった食中毒は毎年どこかでニュースになっていますよね。
これらは、熱中症の下痢や腹痛とは原因が全く違います。
だから、熱中症によるものなのかどうかは、事前の行動や体調不良などが関わってくることが多いです。
ですので、
あなたの下痢や腹痛が熱中症が原因なのかどうか?
主な原因は、
- 高い湿気や急激な温度上昇
- 水分補給できず脱水状態
- 風の当たらない場所
- 高齢者、肥満の人など
- 睡眠不足
- 病気などの体調不良
こういったことが考えられますが、もっと詳しく知るためにこちらのページでチェックしてください。
関連ページまずは原因がわからないと、その後の対処の仕方も変わってくるので、まずはしっかりと自分のことを知れるように見極めましょう
熱中症で起こる下痢の対処は?
あなたの下痢や腹痛が熱中症が原因だったとして、その対処はどうすればいいのか?
その為には、まずは体の調子を整えて熱中症から回復させていかないといけません。
熱中症の原因は、体の熱がうまく放出できていなかったり、水分不足が原因のケースが多いので、まずは体を冷やして体の熱を逃がすことが大切になってきます。
また、水分補給も「スポーツドリンク」や「経口補水液」のような塩分と水分が同時に摂れるものがいいですね。
下痢だからといって下痢止めを飲むようなことがあっても、根本的な解決にはなっていないので、この場合の下痢の対処は、熱中症の対処を行うことが必要でしょう。
熱中症でお腹が弱っている時の食べ物
また、胃が弱っている状態なので食べ物も消化に良い物を食べるようにして、胃への負担も考えながら食べないといけません。
そこで良いのは梅干し入りの雑炊とか、味噌汁も水分補給と塩分補給に優れていておなかにも優しい食べ物です。
色んな野菜の入ったスープなどでもいいですよね。
下痢だからといって何も飲まない、何も食べないでは、体力も回復していきませんので、食欲があるのなら優しい食事で少しずつ回復させていきたいところです。
ただ、その熱中症の対処ですが、下痢の場合は吐き気や嘔吐も伴いやすいと言われています。
だから、水分補給や食事がうまくできないといったことがあるかもしれません。
そうなると、熱中症での下痢も長引く可能性が出てきてしまいます。
そんな時はどうすればいいのか、熱中症の下痢が治らない時の対処について見ていきましょう。
熱中症で下痢が治らない時どうする?
熱中症で下痢や腹痛がなかなか治らないと感じるときもあると思います。
というのも、熱中症自体、その症状を完全に回復させるには2~3日、かかるときは1週間ほど見ておかないといけないこともあると言われています。
だから長期化するとなかなか治らないと感じることも多いでしょう。
そんな時にどうすればいいかですが、一番安心できるのは、すぐに医師の診察を受けて治療してもらうことです。
というのも、熱中症の下痢や腹痛は、吐き気や嘔吐も伴いやすいと考えられています。
だから、その場合は重症度がⅡ度に分類されているので、熱中症の中でも中等症に入ります。
これ以上悪化すると、重症度が上がって危険度も増すので、早めに手を打っておく方が良いんですね。
吐き気や嘔吐が伴う下痢や腹痛だと、無理に水分補給することも難しいと言われていて胃が弱っているため口からの水分補給が難しいんです。
ですので、点滴などで水分補給をする方が、回復に向かいやすいとも取られているんですね。
うまく食事もとりにくい状態なので、放っておくと夏バテなどとも絡みやすいし悪循環に陥る可能性もあります。
下痢だけでなく頭痛やめまいなどを伴ったりしている時や、2~3日たっても治らない場合は医師の診察を受けるようにするのが良いと思います。
あとがき
熱中症で下痢や腹痛が起こる原因は何なのか。
またその対処や治らない時にはどうすればいいのか、熱中症のお腹の不調についてまとめましたがいかがでしたか。
熱中症で下痢や腹痛というとちょっと不思議な感じがするかもしれませんが、体の水分や塩分が少なくなることで起こりうる症状なんですね。
熱中症は危険な状態まで行くと死に至る怖い症状です。
そんな熱中症に関して、他にもたくさん知っておいて欲しいことがあります。
熱中症対策を含め先ほど出た夏バテなど、夏の悩みに関してこちらでまとめているので、気になることは必ずチェックしておいてくださいね。
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