夏の暑い日を迎えると、全国で熱中症のニュースなどがよく聞かれます。
熱中症というと、めまいやふらつき、頭痛や発熱など体に異常をきたして、ひどい場合には死に至る可能性もある怖い症状です。
とても身近に起こりえる熱中症ですが、もし子どもが熱中症になったら、その応急処置や対処はどうすればいいのか?
また、乳幼児の赤ちゃんや高齢者が熱中症になったら、その対処に違いはあるのか?
その違いや共通点などについてまとめてみました。
子どもが熱中症になったら?
子どもが熱中症になったら、まず最初にしなくてはいけないことが
「体を冷やすこと」
これが基本になります。
衣服を脱がし風を当てたり、袋に氷を入れてタオルでくるみ両脇の下や太ももの関節前方当たりを冷やしてあげましょう。
そして、スポーツドリンク等で水分と塩分補給をしっかりと行って様子を見ることが大切ですね。
初期の段階で気づいてあげられれば、その後の回復も早くなると思います。
子どもが熱中症になったら、基本的な応急処置はこのような感じですれば大丈夫だと思いますが、症状が明らかにおかしい場合は少し対処が変わってきます。
特に、
意識がはっきりしているかどうか。
意識がない場合は、救急搬送の必要がありますが、意識はあるけどはっきりしていない時でもきちんと医師に診てもらうことが必要になります。
熱中症になった子供の意識確認の仕方
熱中症のような症状が出たときに、子供の意識を確認する必要がありますが、この時に、子供に声をかけるとき、
といったように声をかけるだけでは、
などしか返事が返ってこない場合があります。
だから、声掛けする場合は、
「どこがしんどいの?」
といったように、子どもが熱中症になったら、きちんと返事が返ってくるかどうかわかるような声掛けをしましょう。
ここできちんと返事が返ってくるのであれば、意識がはっきりしているので水分補給を促しましょう。
意識がはっきりしていなくて水分補給をすると、誤嚥によって肺に水が入ったりして危険なので、体を冷やすことを中心に処置した方がいいです。
この水分補給と誤嚥については「環境省のガイドライン」にも記載されていることなので、覚えておくと安全だと思います。
赤ちゃんが熱中症になったら?
赤ちゃんの場合、言葉がはっきり話せないため、こちらとの意思疎通がうまく出来ません。
自分から「しんどいということも言えない」ため、必ず親や周りの人間が気づいてあげる必要があります。
ですので「赤ちゃんが熱中症になったら」ということの前に、
『どんな症状が赤ちゃんに出たら熱中症の疑いがあるのか?』
ということが必要になってくると思います。
そこで、
としてまとめたのが、次のようになります。
赤ちゃんの熱中症のサイン
熱中症の初期症状
- きげんが悪くなる。
- 元気がない。
- 顔色が赤い。
- 普段よりミルクを飲みたがる。
重度化の危険がある熱中症症状
- 呼吸が荒くなる。
- 抱くと体が熱い。
- 汗をかかない。
- ふらふらしている。
- 吐く。
- おしっこが出ない。
- 顔色が青い。
- 肌にいつものハリがない。
- 唇が乾いている。
救急搬送が必要な熱中症症状
- 痙攣を起こしている。
- 呼びかけに反応がない。
- 意識がない。
赤ちゃんが熱中症になったら、同じように体を冷やすことが一番大切です。
そして、水分も自分から求めてきて飲めるようなら、意識があるのでひとまずは安心ですが、その後の様子で急変する場合もあるようです。
最初にきちんとした対処をして、必要なら医師に診てもらうことも躊躇しないほうがいいですね。
赤ちゃんが熱中症になったのちに障害となって、脳の障害による人格変化や運動障害、腎機能の低下などの障害も残る可能性がありますし、何より死亡のリスクもあります。
赤ちゃんは体温調節がうまくできにくいため、熱中症にもかかりやすく、重度化する可能性も高い上に意思疎通がうまくできません。
だから、親や周りの人間がきちんと熱中症のサインに気づいてあげれるように見守ってあげてくださいね。
気づかず熱中症になるケース
暑い場所に長時間、赤ちゃんを放置するようなことはあってはいけませんが、気づかないうちにそうなってるケースがあります。
それが「車内」です。
夏場、この事故のニュースが頻繁に流れますよね。
これだけ言われているにもかかわらず、夏場車内に放置された赤ちゃんが熱中症になって死亡するという痛ましいニュースを聞きます。
ただ、このような場合ではなくても、チャイルドシートが後部座席にある場合はクーラーが前座席に比べ当たりにくいので、後部座席はしばらくの間ものすごく暑い時があります。
夏場車に乗る前にはしっかりと換気して、しばらくの間は風を入れて走行したほうがいいときもあるので、赤ちゃんがしんどくならないような気配りをしてあげて下さい。
外出時の熱中症の注意点
また、小さい子供や赤ちゃんの場合、特に注意しておきたいのが
「外出時」
大人の感覚で、
といった場合でも、子どもにとってはきつい場合がたくさんあります。
特に道路での「輻射熱」による温度変化は、大人と子供では大きく感じ方が違ってきます。
出典:「3-2 熱中症を防ぐためには_高齢者と子どもの注意事項」(環境省)を加工して作成
http://www.env.go.jp/chemi/heat_stroke/manual/3-2.pdf
このように、身長差によってだいぶ感じ方が変わってくるのです。
そして、これが赤ちゃんの場合、ベビーカーに乗っていたらどうなるでしょう。
これよりもさらに照り返しもきつく、ベビーカーの中は
『高温で多湿、さらに風も当たりにくい。』
こんな状況が揃うため、私達が思っているよりも危険な状態を簡単に作り出してしまいます。
ですので、特に赤ちゃんの場合は注意が必要なので覚えておいてくださいね。
高齢者が熱中症になったら?
高齢者の場合も、赤ちゃん同様体温調節がうまくできにくいため、熱中症になる危険性は高いです。
高齢者が熱中症になったら、同じように基本的には
「体を冷やす」
そして、きちんと水分補給をすることが重要です。
また、高齢者が熱中症になったら、その後の死亡率が非常に高く、自分でも気づきにくいといった特徴があります。
高齢者も熱中症にかかりやすいと考えられていますが、子どもの場合とは違った特徴があります。
高齢者が熱中症になりやすい理由
暑さを感じにくい
加齢にともなって、温度変化を感じにくくなる機能低下です。
ですので、
というのはこのためです。
ですので、周りの人間がそれに気づいて、エアコンなどで部屋の温度を28℃前後にしてあげることが大切です。
本人は暑さを感じていなくても、体温は上昇し水分は失われていきます。
体温調節機能が低下
体温調節は汗をかくことで行われますが、高齢になるとこの機能も低下し、汗をかきにくい体になってしまいます。
汗をかかないでいると体温がなかなか下がらないので、熱中症にかかるリスクも高くなってしまいます。
基礎体力の低下や持病
基礎体力が低下しているため、高齢者が熱中症になったら重度化しやすく、高齢者の死亡率が高いのもこれがひとつの原因となっています。
また、持病の糖尿病や心臓病などが、体温調節がうまくいかない要因にもなってしまいます。
体内の水分量の減少と水分摂取量の低下
子供や赤ちゃんとは違い、高齢になると体内の水分、体液の量も徐々に低下していってしまい汗をかきにくくなるので、体温調節がうまくいかなくなってしまいます。
高齢者の場合、一般的な人の水分保持量60%程度に対し、50~55%程度に低下してしまうと言われています。
また、喉の渇きも感じにくくなるため水分摂取量も少なくなることから、
と呼ばれる脱水症状に陥りやすく、そこから熱中症のリスクも高まっていってしまうのです。
このように、高齢者の方は子どもや赤ちゃんとは違う特徴を持っていますが、熱中症にかかりやすいという面を持っています。
でも、自覚症状も感じにくく気づいた時には重度化している場合もあるので、周りの人も体調を気遣って上げることが大切になってきますね。
熱中症計などで知らせる。
熱中症対策グッズの中には、危なくなったらアラームで知らせてくれる「熱中症計」というグッズもあります。
【熱中症計】
これは体を冷やすものではなく、温度計のようなもので、
- 「見守りっち」
- 「みはりん坊」
- 「熱中症指数系」
など、いろんな熱中症対策グッズも出ています。
置き時計のように室内で使うものや、外出先でも使える携帯型のものもあります。
温度や湿度の上昇で、環境が危険になってきた時にアラームで知らせてくれる機能がついたりしています。
特に「高齢者や子ども」のために使うことで、非常に役に立ってくれる熱中症対策グッズだと思います。
こんなふうに注意を促しているだけでも、温度変化を感じにくい高齢者にとってはありがたいものですね。
このような熱中症対策グッズはたくさんあるので、別のページでもまとめてます。
実際に私が使って良かったものから、人気の高いものまで色々とまとめたので参考にしてください。
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あとがき
子供や赤ちゃん、高齢者が熱中症になったらどうするか、という事を見てきましたがいかがでしたか。
子どもや赤ちゃん、高齢者の場合は熱中症にかかりやすいため、いろいろな注意が必要ですね。
また、子どもの熱中症は半日程度で回復する場合もあれば、一週間ほど熱が出て長引くといったケースもあるとのことで、長期化すると当然危険度も増してきます。
子どもを守れるのは、親や周りの人間です。
子供や高齢者は、自分がしんどいことをしっかりと伝えてくれない場合もあるので、周りの見守る人間がしっかりとそのサインに気づいてあげないといけません。
熱中症になったらどうするのかということも大切ですが、子どもからのサインを見逃さないように普段の状態を常に把握しながら、熱中症にならないための予防、対策を普段からきちんと行いたいですね。
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