熱中症の対策には色々ありますが、その中でも特に大切なのが水分補給ですよね。
そんな水分補給には、一般的にスポーツドリンクやお茶などが飲みやすく身近にもある物ですが、
熱中症に牛乳が効果がある!?
こんな話を耳にしました。
ちょっと嘘じゃないのって思うほど、熱中症の水分補給としてはあまり結びつかない牛乳ですが、いったいどんな効果があるのでしょうか?
また、熱中症と牛乳の関係を「ためしてガッテン」という番組でも取り上げられており、運動した後に飲むのが良いと勧められていました。
これは一体どういうことなのか。
今回は、熱中症と牛乳の関係についてまとめました。
熱中症に牛乳は効果があるのは本当?
熱中症と牛乳と聞くと、あまり結びつきがなさそうな感じがしますよね。
熱中症対策と言えば水分補給ですが、普通はお茶やスポーツドリンクなど、そういったものが定着していると思います。
そもそも水分補給は水分を体に入れる目的と、塩分を多少とる目的があります。
激しい運動をしたりして大量に汗をかくと、水分と同時に塩分も失われるからですね。
だから、今では麦茶と一緒に塩飴とかを舐めている人も多く見かけます。
でも、牛乳にはどのくらい塩分が含まれてるのでしょう。
この牛乳が熱中症に効果があるとはどういう事なんでしょうか?
熱中症と牛乳の成分
牛乳には熱中症対策に直接つながる塩分はそれほど含まれていません。
だから、ここで牛乳の話が出てきていますが、ちょっと普段の水分補給とは意味合いが違うんですね。
結論から言うと、
熱中症に強い体を作るのに牛乳が効果的である。
ということ。
だから、夏場熱い時に外にいて喉が渇いたとき、水分補給をするならスポーツドリンクなどが良いと思います。
では、この「熱中症に強い体を作る牛乳」という点に触れていきましょう。
熱中症に牛乳を飲むのは運動後?
熱中症に強い体を作るという意味で効果が期待できる牛乳ですが、いったいどんな理由があるのか。
それは牛乳に豊富に含まれる「タンパク質」に秘密があります。
そして、この「タンパク質」と「運動後」
これが熱中症に対して強い体を作るキーワードとなります。
実は、熱中症対策のためにも、普段からある程度運動することが求められています。
これは、運動することによって「汗をかきやすい体質」へと変わっていくと考えられているからなんです。
汗をかきやすいということは、体温調整がうまく働きやすい体になるという事です。
熱中症は
ということが起こり、体のバランスがおかしくなることから起こります。
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だから、普段から汗をかき、体温調節のしやすい体作りが求められるというわけです。
熱中症対策の体温調節のしやすい体作りと牛乳
そんな体作りに一役買ってくれるのが「牛乳」です。
この牛乳には豊富な「タンパク質」が含まれていて、これを「運動後」に飲むことでより効果的に血液量が増やせるという研究結果が出ています。
これは「環境省の熱中症保健マニュアル」にも記載されています。
日常的に運動して若年者と同等の体力レベルをもつ高齢者では、若年者に劣らない暑さに対する耐性(同等の発汗能力など)を持っていることが明らかにされています。
このことは、高齢になっても日常的な運動習慣を身につければ、体温調節能力の老化を遅延できることを示しています。
近年、運動直後30分以内に糖質とタンパク質を含んだ食品(牛乳1~2杯)
を補給することで、血液量を増加し、熱放散能力を改善することが報告されています。1日1回汗をかく運動をして、体力作りすることをお勧めします。
参照:環境省「熱中症保健マニュアル2014」p38より
http://www.wbgt.env.go.jp/pdf/envman/full.pdf
血液量が増えるとそれだけ発汗作用も大きくなるので、体温調節のしやすい体作りにつながるというわけです。
熱中症には運動後の牛乳が効果的なワケ
さて、ここで、牛乳を飲むのは「運動後」というキーワードがありますが、
- どうして運動後のほうがいいのか?
- 普通に牛乳を飲むだけではダメなのか?
こんな疑問もあると思います。
実はこの運動というのも深い意味があって、ややキツ目(息が少し上がるくらい)の運動することによって、筋肉への負荷が生まれます。
その筋肉を回復させるために、肝臓で「アルブミン」という成分が作られます。
これにはグルコースやアミノ酸が必要となるわけですが、それを効果的に増やしてくれるのが牛乳というわけなんです。
牛乳にはアルブミンの原料である「乳タンパク質」が多く含まれているため、運動後に飲むことで、より効率的にアルブミンの量を増やせる事ができます。
血液中にアルブミンの量が増えると浸透圧の影響で血管内に水分が引き込まれ、血液量が増えていきます。
こうやって運動することで筋肉に負荷を与え、血液の中の水分を多くし、血流を活発にすることで、体温調節のしやすい体作りへと変化させていくわけです。
これが熱中症対策につながるということですね。
運動後に飲む牛乳のリミット時間
この運動後の牛乳は、
この間に今の働きが行われているので、運動後30分以内というのがキーワードです。
また、ここでは牛乳を紹介していますが、乳製品であればヨーグルトなどでも構わないようです。
ただ、牛乳のほうがアルブミン生成に必要な糖分が若干含まれているので、吸収が早いようです。
運動するときの注意点
少しキツ目の運動をした後に牛乳を飲むことで、熱中症に強い体作りをするといった目的ですが、当然この運動で熱中症をおこしては意味がありません。
運動をするときも炎天下の外ではなくて、朝や夕方の比較的気温が落ち着いた時間や、日の当たらない室内、また、こまめな水分補給や、無理のない運動の中で行いましょう。
この運動する頻度は、1日30分以上で週4くらいが効果的といわれています。
この運動も人によってどの程度がキツ目なのかも違うと思いますが、ジョギング、ウォーキングなどの有酸素運動に加え、筋トレ(スクワット等)もできると負荷がかかりやすいと思います。
ただ、無理はしないでください。
熱中症と牛乳「ためしてガッテン」の説明
NHKの「ためしてガッテン」という番組でも、熱中症と牛乳について触れている会がありました。
2011年放送の会で、信州大学で熱中症と牛乳の関係について実験が行われたようです。
4人の学生を2つに分け、いくつかの環境条件の中で運動したところ、体温は38度ほどまで上昇したようです。
その運動後、一方にはスポーツドリンク、もう一方には牛乳を飲んでもらいました。
その1週間後、同じ環境下で運動してもらい、暑さに対する強さをチェックすると、スポーツドリンクを飲んだチームは前と同じでしたが、牛乳を飲んだチームは体温が38度まで上がらなかったという結果とともに、同じ運動が楽であったそうなんですね。
この牛乳を飲むことによって血液量が13%アップするということから、このような結果が出たと考えられています。
あとがき
熱中症に牛乳が効果があるというのは本当なのか。
また、熱中症に牛乳を飲むのは運動した後や、ためしてガッテンという番組の内容などまとめましたがいかがでしたか。
熱中症に牛乳が良いというのは間違いなんじゃないかと思うかもしれませんが、実はこういった熱中症対策に効果が期待できるんですね。
ただ、この熱中症対策もやっぱり普段からこういったことをしていると、いざというときの準備ができていいと思います。
実際に汗を大量にかいて水分補給が必要な時は、牛乳ではなくスポーツドリンクなどが良いでしょう。
その時の状況にも合わせて、熱中症には十分注意してくださいね。