「夏も近づく八十八夜~~ 野にも山にも若葉が茂る」
1912年(明治45年)に発表された『茶摘(ちゃつみ)』と言われる日本の童謡・唱歌や、
といった言葉、太宰治の短編小説「八十八夜」というのもありますね。
この読み方は、八十八夜(はちじゅうはちや)というように読みます。
では、この「八十八夜」ですが、2022年の八十八夜とはいつになるのでしょうか?
また、その意味や由来などについてまとめました。
八十八夜2024年はいつ
八十八夜は立春から数えて「八十八日目」をそのように呼んでいます。
ちなみに2024年の立春は2月4日になりますね。
立春は毎年固定されているわけではないので、この八十八夜の日にちも多少のずれがありますが、毎年だいたい5月2日ごろとなっています。
では、2024年前後の八十八夜の日にちはどのようになっているのか、立春と一緒に表にしてまとめました。
2024年前後の八十八夜の日にちはいつ?
年 | 立春 | 八十八夜 |
2023年 | 2月4日 | 5月2日 |
2024年 | 2月4日 | 5月1日 |
2025年 | 2月3日 | 5月1日 |
2026年 | 2月4日 | 5月2日 |
2027年 | 2月4日 | 5月2日 |
2028年 | 2月4日 | 5月1日 |
2029年 | 2月3日 | 5月1日 |
2030年 | 2月4日 | 5月2日 |
2031年 | 2月4日 | 5月2日 |
2032年 | 2月4日 | 5月1日 |
このようになっています。
まあ、今後はほとんど5月2日が続きますね。
八十八夜は二十四節気(にじゅうしせっき)の雑節の一つで、立夏(5月6日ごろ)の前に訪れます。
そんな八十八夜は、実は「縁起の良い日」と考えられているのです。
では、この八十八夜にはどんな意味や由来があるのか、次に見ていきましょう。
八十八夜とはいったい何なの?
さて、この八十八夜とはいったい何なのかというと、
春から夏へと季節が変わるときの境目
このように言われています。
その後の立夏(5月6日ごろ)が夏の始まりを意味していますね。
関連ページまた、茶畑ではお茶積みが始まる時期でもあって、一番茶が味わえる季節にもなっています。
そういった季節だったので、冒頭でも少し触れたような『茶摘(ちゃつみ)』と言われる日本の童謡・唱歌があるんですね。
八十八夜に摘まれた「一番茶」とは?
この八十八夜の時期に摘まれたお茶は「一番茶」とも呼ばれ、昔から不老長寿の縁起物とされてきました。
お茶の樹は冬に養分を蓄えて、その若葉が春にその栄養分をたくさん含んで育ちます。
だから、一番茶を飲むと、一年間病気にもかからずで元気に過ごせると言われているんですね。
*「一番茶」のことを「新茶」と呼ぶこともあります。
「八十八」という数字に隠された秘密
さて、この「八十八」という数字ですが、これは実は組み合わせると
という漢字が出来上がるのですね。
これは、長寿祝いの「米寿」の記事の際にも紹介させてもらいました。
関連ページ>>米寿とは何歳のことでどういう意味があるの?お祝いやプレゼントは?
米寿というのは「八十八歳」のことで、この年を迎えるとお祝いする風習があります。
還暦(60歳)のようなものですね。
だから、お米と深い関係にある日本、特に「お米を作る農家の人たち」はこの八十八夜のころに作る苗代の出来で、その年のお米が良いか悪いかを占っていたと言われています。
末広がりの「八」で縁起がいい
この「八十八」という数字ですが、実は「八」という数字が
というように日本や中国では考えられています。
末広がりで縁起がいいってどういうこと?
この意味がよくわからない人もいると思いますが、「末広がり」とは、
こういうことを意味しています。
だから、子孫繁栄とか、商売もどんどん広がってうまくいくというような意味が含まれているのですね。
「8」は漢字で「八」と書きますが、字を見てわかるように下の方に広がってます。
このことから「末広がり」を意味して、日本や中国では幸運とされているのです。
八十八夜の意味や由来とは?
この八十八夜の意味や由来ですが、どうして立春から八十八日目のことをそう呼んだのか?
それには深い意味があるんです。
実は、この八十八夜の時期には予期しない霜が降りて、農作物に被害を与えることがあるので
などというようにも呼ばれているのです。
こういった霜の被害に遭ったりしないように
注意を呼びかける日
としての意味があるんです。
この遅霜のせいで、これまでの苦労が台無しになったり、その後の収穫にも影響を与えかねなかったのでとても大切な日だったのですね。
そして実は、「八十八夜は日本独自の雑節」で中国では無いようなんです。
立春や夏至などは中国由来ですが、こういった雑節は日本独自のものがほとんどのようですね。
八十八夜はなぜ立春から88日目なのか?
この八十八夜は立春から数えて88日目のことを言いますが、どうして88日なのでしょうか?
これは日本がこれまでに使ってきた旧暦(太陰暦)によって日にちと季節にズレが生じていたので、それを補うために88日という日数が必要だったと考えられています。
旧暦では29日半周期で満ち欠けをする
なんですね。
だから1ヶ月が29日とか30日だったのです。
今のように太陽の位置で日にちを決定していなかったので、季節と暦にズレがあったんです。
そのズレを補うために、88日という日数を決めたわけなんですが、これは月の満ち欠けで決めたと考えられています。
月の満ち欠けは29.5日周期なのですが、それが3回繰り返されると、
このようになりますね。
だから、立春の月の形を覚えておいて、それと同じ形になるのを3回見ればちょうどそのズレを調整することができた仕組みだという説があります。
今のように日にちが固定されないので、こうやってわかりやすくしたわけなんです。
ちなみに2014~2018年の八十八夜の日付を旧暦と比較してみると、そのズレがいかに大きいのかがよくわかります。
年 | 新暦 | 旧暦 |
2014 | 5月2日 | 4月4日 |
2015 | 5月2日 | 3月14日 |
2016 | 5月1日 | 3月25日 |
2017 | 5月2日 | 4月7日 |
2018 | 5月2日 | 3月17日 |
毎年全然違いますよね。
このように1ヶ月ぐらいのズレが生じていたと考えられています。
「立春」というのは太陽の位置で決まっていて、旧暦では1年の始まりと考えられていたので、この日を起点として考えたのですね。
関連ページ立春についてもっと知りたい人はこちらも参考にしてください。
あとがき
2024年の八十八夜とはいつになるのか。
また、その意味や由来などについてまとめましたがいかがでしたか。
二十四節気の中の雑節なので、冬至や秋分、立春などと比べるとあまり知られていませんが、こうやって見てみると面白いことがたくさんありましたね。
また、「八十八夜」という言葉がセンスを感じるので、お店などのネーミングにされているところも多いです。
さて、上でもちょっと説明しましたが、旧暦だと暦の日がけっこうっズレちゃうからわかりにくいんですね。
だから、この八十八夜というのは、昔使われていた旧暦では立春から88日目ということで「数えやすい、覚えやすい」と考えられていました。
でも、今の新暦だと日にちが大幅にズレるなんてことがないので、
もうほとんど固定されていますよね。88日を数える必要もないし。
意味や由来を見ると結構大切な日なんですが、今では正確になってしまった故に、現在ではその存在価値がかなり薄れてしまった、そんな日なんですね。