毎年6月21日頃には夏至を迎えます。
梅雨の真っただ中ということもあって、ちょっとうっとおしい日が続くころに迎えますが、この夏至って一体どんな意味があるのかご存知ですか?
今の日本では、夏至についてそこまで注目されていないですよね。
その夏至よりも、ゆず湯などで有名な冬至はいろいろ知っている人も多いですし、春分、秋分の日は祝日として迎えお彼岸としても知られています。
じゃあ、この夏至ってどんな意味があるの?
そこで今回は、この夏至の意味やその日照時間、また、食べ物の風習などさまざまなことを含めまとめました。
すると実は、この夏至の日が世界ではとても大切な日であった、ということがちょっとわかるようになります。
日本と世界の夏至の違いはかなり面白いので、いっしょに見ていきましょう。
夏至の日とはどんな意味があるの?
日本では毎年6月21日ごろに夏至の日を迎えます。
この夏至にはどんな意味があるのかというと、
昼が一番長くて夜が一番短い日
このような日なんですね。
昔は、この夏至の季節は田植えでとても忙しい時期でした。
この夏至を境に、7月2日ごろから5日間続く半夏生(はんげしょう)に入るまでには、田植えを終わらせるのが良いと伝えられていたのです。
関連ページこの夏至の日の太陽がどういう位置にあるのかは、地球を中心とした天球図を見てもらうとわかりやすいのです。
地球を中心とした天球図と夏至の位置
「天球図」
- 天球:地球を中心として取り巻く球体
- 黄道:天球上における太陽の見かけの通り道
- 天の赤道:地球の赤道面を天球にまで延ばし、天球上と交差してできる大円
これを見てもらうとわかるように、横経90度のとき太陽が一番高い位置になります。
さらに、こちらの太陽の動きの図を見てもらうとわかりやすいと思います。
こんな感じで、夏至のときに太陽の位置が一番高いくなるので、日の出から昇りきるまで時間がかかります。
さらに、動画もあるのでよければどうぞ。
地軸の傾きと南中高度の違い
だから、日の入りも時間がかかるので、お昼が最も長くなるわけなんですね。
じゃあ、実際にどのくらいお昼が長いの?
この夏至の日の日照時間って気になりますよね。
次は、各都市の日の出と日の入りから、どのくらいの日照時間があるのかをまとめました。
夏至の日照時間ってどのくらい?
夏至の日は
「1年で一番お昼が長くて夜が短い日」
という意味の日なのですが、実際に「日の出」と「日の入り」時間って何時くらいなのか気になるところだと思います。
そこで、2015年を例にして、各都市の日の出と日の入時間を表にしてまとめました。
夏至の日の各都市の「日の出」と「日の入り」時間
日の出 | 日入り | |
札幌 | 3:55 | 19:18 |
仙台 | 4:13 | 19:03 |
東京 | 4:26 | 19:00 |
名古屋 | 4:38 | 19:10 |
大阪 | 4:45 | 19:15 |
広島 | 4:58 | 19:26 |
福岡 | 5:09 | 19:32 |
那覇 | 5:38 | 19:25 |
*2015年時:夏至の日の出と日入り時間
ちなみに東京の日の出~日の入り時間は
お昼がとっても長い一日ですね。
こうやって見てみるとわかりやすいので、
この夏至あたりは日照時間が1年で一番長いのかな?
なんていうふうに思うかもしれませんが、この6月あたりって梅雨ですよね。
ですので、実は日照時間は西日本を中心に短くなる傾向にあったりするんです。
今年の夏至の日はこちらで確認しましょう!
関連ページまた、冬至の日との日照時間の差についてもまとめたのでご覧ください。
夏至と冬至って、とんでもなく差がありますよ!
日照計で測定される直達日射料が120W/m2以上である時間のこと。
日照なし(120W/m2以下)の目安は、直射光によって物体の影が認められない程度となっています。
*今回は「日の出~日の入りまでの時間」で、日照時間というように表現しています。
夏至の期間は北に行くほどお昼が長い!
そして実は、この日の出と日の入りの時間にはちょっと秘密があるんですね。
それは、北半球では北に行くほど日の入りが早くなって、日の出が遅くなる。
というような現象が一般的に起きています。
先程の表を見てもらうと分かりますが、一番上の札幌と、一番下の那覇を比べてみましょう。
- 札幌:3:55~19:18(15時間23分)
- 那覇:5:38~19:25(13時間47分)
このように、日本国内でも1時間半くらいの差があります。
じゃあ、もっと北の方に行くとどうなっちゃうの?
地球で一番北にあるのは「北極圏」ですよね。
だから、北極に近い地域では「夜になっても太陽が沈まない、薄明かりが一晩中続く」といった現象が起きています。
これを「白夜(びゃくや)」というように呼んでいます。
北欧のスウェーデンやカナダなどの世界でも北の方にある国々では、日照時間がとても長く、特にこの夏至は特別な日として、クリスマスと並ぶほど大切な季節の行事という位置づけになっているんだそうです。
日本でも、この夏至のころに三重県二見浦でお祭りがあったり、北海道当別(とうべつ)町のスウェーデン公園で夏至祭が行われたりしています。
そこで次は、夏至に行われているお祭りや、食べ物の風習などについて触れていきますね。
夏至の食べ物の風習やお祭りって?
日本では毎年6月21日ごろに夏至の日を迎えます。
先ほどちょっと触れたように、この時期は田植えで忙しくて、半夏生に入るまでに済ませようとしている人も多かったようです。
そんな半夏生は農作物を育てるうえで、とても大切な目安の日とされていました。
そこで、関西では
「作物がタコ足のようにしっかりと根を張りますように。」
こんな願いを込めてタコを食べるようになったそうです。
これも理にかなっていたというか、実はタコには疲労回復効果のある「タウリン」が多く含まれているので、農作業で疲れた体にはもってこいの食材だったんです。
「タウリン」といえば、栄養ドリンクのCMなどでもよく聞きますよね。
そんな食べ物は関西だけではなく、他の県でもその地方に特色のある食べ物が食べられていたと言われていますね。
半夏生のころに食べられる食べ物
うどん
うどんは香川県で見られる風習です。
この地域でうどんは盛んに作られていたので、この時に収穫された麦を使って、農作業で疲れた人たちに振る舞われていたのが始まりとされています。
鯖
鯖は福井県で見られる風習です。
この時期に食べる鯖は「半夏生鯖」とも呼ばれるくらいですが、本来、鯖の旬は秋です。
しかし、この地域では鯖の収穫が多かったので農作業で疲れた人たちに鯖が振る舞われていたのですね。
お餅
お餅は奈良県で見られる風習です。
この時期に食べられる餅は「半夏生餅」とも呼ばれていました。
半夏生餅は、もち米と小麦を同量ずつあわせてつき、きな粉をまぶしたお餅で、6月の旬の小麦を使ってお餅を振る舞われていたとされています。
似たような風習で「だんご」を振る舞われていた地域もあります。
今でも、
といったように販売されているものもあります。
河内は大阪ですが、京都にもこういった風習の地域があるようで、各地で様々なものが振る舞われていたことがわかりますね。
夏至に行われるお祭りって?
夏至のころには、三重県伊勢市二見町にある二見浦で行われる夏至祭が有名ですね。
三重県の二見浦は伊勢神宮の近くにありますが、昔から禊(みそぎ)のために海の水を浴びて身を清めた場所とされています。
そこには夫婦岩があり、しめ縄がされているのですが、岩の向こうの海中に沈んでいる霊石「興玉神石(おきたましんせき)」と「日の大神」を拝むための「鳥居」のように見立てられています。
午前3時30分から神事が始まって、日の出とともに夫婦岩の前の海に入って禊が行われています。
めっちゃ時間が早いですよね。
でもすでに、ちょっと明るかったりしますね。
あとがき
夏至の日にはどんな意味があるのか。
また、その日の日照時間や食べ物の風習、お祭りなど夏至の日についてまとめましたがいかがでしたか。
夏至の季節は梅雨時で、そんなに日照時間が長いという印象もなく、また昔は田植えでみんな忙しかったということもあって、日本ではちょっとなじみが薄いかもしれません。
でも、先ほどちょっと触れたように、北半球の北にある国々では白夜を迎えるので、この時期には夏至を祝ったお祭りが各地で行われるようです。
例えば、次の動画は、北欧のスウェーデン中部にある「レクサンド市」の夏至祭の様子です。
けっこう大々的なイベントになっていますね。
日本でも、このレクサンド市と姉妹都市である北海道当別(とうべつ)町のスウェーデン公園で夏至祭が行われているようです。
これが当別町の夏至祭ですね。
私も大好きな、大泉洋さんが出演している「水曜どうでしょう」でカナダのユーコン川にカヌーで川下りをしにいった企画がありましたが、あのとき白夜のために大泉さんやミスターは苦しめられてましたね。
いくらでも残業(カヌー漕ぎ)ができるぞ・・・ってね。
あの時の日にちが「7月2日~7月8日」と、ちょうど夏至に近いころだったのです。
ご覧になってた人はわかると思いますが、夜の11~12時でも夕方の4~5時みたいでしたよね。
だから、北欧のような国々では、
「この夏至という日がいかに特別な日であるのか。」
というのが少しわかったような気がしますね。