毎年3月になると国民の祝日としてやってくる春分の日。
そして、この日にはあなたもご先祖様の供養のために、お墓参りに行かれることもあるかとおもいます。
そんな春分の日にはどういった意味があるのか?
何でこの日にお墓参りするようになっているのだろうと、不思議に感じたことはないですか。
実は、この春分の日にお墓参りをするということが一般的に広まっているには、
という事が大きく関係していると考えられています。
そしてそれは、秋分の日のお彼岸とも大きく関係していました。
では、この春分の日にお墓参りをする理由にはどのような意味が込められているのでしょうか?
また、この日に用意される食べ物で深い意味を持つ
今回は、これらについてまとめましたのでご覧ください。
春分の日はどんな意味があるの?
実は、春分の日は毎年3月20日か21日のどちらかで、日にちが決まっている国民の祝日じゃないんです。
でも、
- 春分の日がどうして祝日なのか?
- どういう意味が込められた日なのか?
何気なく、
こんなふうに思っていませんか。
この春分の日の意味を紐解いていくには、
春分の日という日がどういう日なのか?
これを暦の上から考えていくとわかりやすいと思います。
天球から見る春分の日の意味
まずはこの天球の図を見てください。
- 天球:地球を中心として取り巻く球体
- 黄道:天球上における太陽の見かけの通り道
- 天の赤道:地球の赤道面を天球にまで延ばし、天球上と交差してできる大円
- 春分点:黄道と赤道の交点のうち、太陽が赤道を南から北へ横切る点
春分の日というのは、この図にある『春分点』をスタートとして、
というように考えられていて、
- 太陽が真東から昇って真西に沈む日
- 昼と夜の長さがほぼ同じ日
という特別な意味を持った日なのですね。
ちょっと色んなことが関係して、日にちがずれちゃうんですね。
詳しくはこちらもご覧になって下さいね。
この「春分の日」が祝日になったのは法律で決められたことなのですが、
という意味が込められた日なのです。
また、この春分の日は
とも呼ばれています。
これは次にお話する、
ということにも関係してきます。
では、どうして春分の日になぜ墓参りをするのか?
続けてみていきましょう。
春分の日になぜ墓参りをするの?
春分の日は彼岸の中日とも言われ、春のお彼岸の期間中となっています。
ご先祖様の供養のために、お墓参りに出かける方も多いのではないでしょうか。
でも、このお墓参りは、
- 子供の頃からなんとなく言われているから。
- そういうものだとずっと思っていた。
こんなふうに考えている人も少なくありません。
私たちは、
といったような感覚を持っていると思います。
でも実は、この春分の日も
と呼ばれ、お彼岸の時期に当たります。
『暑さ寒さも彼岸まで』
この言葉を知っている方も多いと思います。
この慣用句は
- 冬の寒さも春の彼岸(春分)まで。
- 夏の暑さも秋の彼岸(秋分)まで。
といったことを表しており、秋分の日と春分の日の季節の関係を表す言葉だったのですね。
先ほど春分の日の意味の中で、天球の図を見ていただいて春分の日が
太陽が真東から昇って真西に沈む日
という説明をしました。
この西という方角は、仏教では
と考えられています。
春分の日は太陽が真西に沈むので、極楽浄土の方角がはっきりわかるようになります。
そしてこのことから、春分の日は、
だというように考えられてきました。
つまり、
亡くなられたご先祖様と、あなたの距離が最も近づく日
というように考えられていたため、その特別な日である春分の日にお墓参りをするという風習が昔から続いているのですね。
春分の日にはなぜぼたもちなどの食べ物なの?
この春分の日はご先祖様へのお供え物として、
ぼたもち
この食べ物が供えられてきました。
どうしてぼたもちなの?
不思議に思ったことはないですか。
春分の日ではお墓参りをして、ご先祖様への供養をする彼岸の時期となっていますが、この時にお供えされるものが
一方の秋分の日には、
おはぎ
この食べ物をお供えします。
と思われる人も多いと思いますが、基本的には同じ食べ物です。
この2つの違いは、
食べる時期が変わると、「呼び名」が変わる食べ物
なのです。
なんか変な感じがしますよね。
春は牡丹、秋は萩の季節です。
ですので、
- 春分の日:牡丹(牡丹餅:ぼたもち)
- 秋分の日:萩(お萩:おはぎ)
といって、それぞれのお彼岸の時期で見立てているものが違うため、呼び名が変わっているのですね。
ぼたもちとおはぎを比べると、ぼたもちのほうが牡丹の花に見立てているため、若干形が大き目になるようですね。
こちらの「春は牡丹の季節から牡丹餅」「秋は萩の季節からおはぎ」というような話ですが、これについてご指摘のあるコメントをいただきました。
その内容によると、
牡丹餅と呼ばれる理由は「お盆にたくさん並べた様子が、大きな花びらが重なって咲いている牡丹の花に似ているから」(1843年出版:『世事百談』より)
「萩の花」という呼称は、小豆餡の色や粒を表面に散らした様子が萩の花に似ているという説があり、「お萩」という呼び名は女言葉で、粒のままの小豆を表面にまぶした様子が「萩の花が乱れ咲いているように見えることから。」このような名がついたと考えられているようです。
また、牡丹餅が本来の呼称であり、そこから名前が来ていること(1697年出版『本朝食鑑』1712年出版『和漢三才圖會』より)
そして、お萩は粒あんの可能性が高いこと。
こういったことから、季節が由来することで牡丹餅やおはぎと言われた可能性はかなり厳しい説だという意見をいただきました。
そして、このぼたもちやおはぎには
が使われていますよね。
あずきには元々は「邪気を払う」とされており、昔から日本では赤色に魔よけ効果があるとされていました。
東洋思想の五行では赤色は「火」を表します。
例えば、小豆粥(あずきがゆ)を食べる習慣は、
にも書かれているほど歴史があります。
ですので、あずきを使ったおはぎは邪気を払うとされていたのですね。
また、当時は高価なものとされていた「砂糖」や「もち米」を使うことから、
ご先祖さまを大切に思う気持ちが表れているのです。
そして、
『あずきともち米を合わせる(ご先祖さまと心を合わせる)』
という意味が込められていたと言われています。
お彼岸でぼたもちをお供えする意味には、このようにご先祖さまを想う気持ちが込められていたのですね。
あとがき
この春分の日にはさまざまな意味やお墓参りに行く理由、ぼたもちやおはぎなどの食べ物に込められた想いなど、特別な日であることがわかりましたね。
でも実は、これは日本だけの話であって、他の仏教国ではこういった習慣はないようです。
そのお彼岸についてこちらで詳しくまとめてるので、ぜひ読んでみて下さい。
関連ページ
そして、ぼたもちも最近ではおはぎに統一されていることも多く、呼び名が変わらず通年でおはぎとなっていることも多いですね。
こんなふうに時代とともに徐々に変わることもあるようです。
これも今後どのように変化していくのかはわかりませんが、ご先祖様を大切にする想いだけは変わらないでいたいですね。