年の暮れが近づいてくると親戚や会社の上司、部下の人からお歳暮が届く季節になりますが、お歳暮があなたの家に贈られてきた場合は、電話やメールなどでお返しを済ませることも多いようですね。
ただ、本来そのマナーとしては、
「お礼状」
として、相手に感謝の気持ちを伝えるようにすることが大切です。
では、
お歳暮を頂いた時に、そのお礼状はどのようにして書けばいいのか?
そのハガキの書き方や、会社の上司や部下に宛てるビジネスでの例文や、親戚や個人、一般、お断りなどの場合で使える様々な文例を揃えまとめました。
お歳暮のお礼状のハガキの書き方は?
お歳暮が贈られてきた時には相手に感謝の気持ちを伝えるため、お返しを電話やメールではなく、ハガキでお礼状を書くことがマナーです。
そのお礼状の書き方ですが、相手によってもその文面は若干変わってくると思いますが、全体を通して抑えておきたいポイントが6つあります。
- 頭語(拝啓など)
- 時候の挨拶など、季節を表す言葉とともに相手の状態をうかがう。
- お歳暮を頂いたことについてのお礼
- 頂いたお歳暮に対して感謝の気持ち
- 相手の健康を気遣う言葉
- 結語(敬具など)
親戚や友人、会社の上司や部下などのビジネスの場合でも、書き方としてはこのポイントを抑えることが基本的な流れとなります。
また、お礼状はハガキで構いませんが、丁寧に返事をするのであれば便箋に縦書で書く方がいいでしょう。
では、実際にこの書き方のポイントを抑えた上で、
- 会社の上司に対してのお礼状
- 会社の部下に対してのお礼状
- 取引会社に対してのお礼状
このようなビジネスの場面での書き方と、文例も含め見ていきましょう。
お歳暮のお礼状でビジネスの時の書き方や文例は?
会社の仕事の関係でお歳暮が贈られてくるケースがあると思いますが、会社の上司、部下、取引会社から贈られてくるといった3つのケースについて、お礼状の文例を用意しましたので参考にして下さい。
会社の上司に対してのお礼状の文例
文例1
拝啓
師走の候、寒さも本格的になってきましたが○○部長には益々ご健勝にてお慶び申し上げます。
この度はまことに結構なお歳暮の品を頂戴し、誠に有難うございました。家族一同、大変喜んでおります。
この寒気もさらに強まるとのことですので、くれぐれもご自愛いただき、よい新年を迎えられますことをお祈り申し上げます。
敬具
文例2
拝啓
初冬の候、寒さもひとしお身にしみるころではございますが○○部長には益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
この度は新鮮な海の幸を頂き、本当に有難うございました。
家族ともども大変喜んでおります。
いつも変わらぬお心くばり、恐縮に存じます。
寒さ厳しき折、皆様どうぞご自愛くださいませ。
略儀ながら、書中をもちまして御礼申し上げます。
敬具
上司に対してのお礼状なので、ちょっと固い感じになりますね。
でも、これくらいであれば失礼がなくちょうどいいかと思われます。
会社の部下に対してのお礼状の文例
文例1
拝啓
師走の候、○○様におかれましてはますますご隆盛のこととお喜び申し上げます。
さて、先日は結構なお品をお贈りいただき有難うございます。
ご芳志のほど重ねて御礼申し上げます。
寒さ厳しき折、皆様どうぞご自愛くださいませ。
略儀ながら、書中をもちまして御礼申し上げます。
敬具
文例2
拝啓
初冬の候、○○様におかれましてはますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
この度はお心尽くしの品をお贈りいただき有難うございます。
せっかくのお気持ちで大変有り難く頂戴いたしますが、どうか今後は、お気遣いなさいませんようお願い申し上げます。
末筆ながら皆様のご健康をお祈り申し上げます。
敬具
部下に対してのお礼状ですが仕事上での付き合いなので、さすがに友人や知人に宛てるような書き方よりもちょっと固くなりますね。
そして「会社の部下に対してのお礼状の文例2」では、断りの旨も含めてのお礼状として用意してみたのでこちらも参考にして下さい。
取引会社に対してのお礼状の文例
文例1
拝啓
師走の候 貴社におかれましては益々ご清祥の事とお慶び申し上げます。
この度は結構なお品をお贈り頂きまして誠に有難う御座います。
ご芳志のほど重ねて御礼申し上げます。
来年行われる事業展開におきましては、引き続き貴社のご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
今年も残り僅かとはなりましたが、貴社の皆様にはくれぐれもご自愛をお祈り申し上げます。
敬具
文例2
拝啓
師走の候 ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
この度はご丁寧にも結構なお歳暮をお贈り頂きましたこと心よりお礼申し上げます。
弊社は皆様のご期待に添えますように努力してまいりますので、
今後ともお引き立ての程、よろしくお願い申し上げます。
略儀ながら書中を持ちまして御礼申し上げます。
敬具
取引会社に対してのお礼状の文例1では、会社に対してのお礼状となっているため「貴社」という言葉で書いています。
取引会社に対してのお礼状の文例2では、「会社から事業主宛」ということを想定し用意しましたので、ここの使い分けはそれぞれで変えて下さい。
また、テンプレートが用意されていて印刷したものであれば、文末に何か手書きで一筆感謝の気持ちを添えるといいと思います。
では、次はビジネス以外でのお歳暮のお礼状の書き方や例文について見ていきましょう。
お歳暮のお礼状のさまざまな例文をご紹介
ビジネスの場面でのお礼状について見てもらいましたが、おおよその流れとしてはこのような感じになります。
では次に、
- 知人、友人などに送るお礼状の文例
- 先生、恩師などに送るお礼状の文例
- 次回から断りたい場合の文例
- 受け取りを断りたい場合の文例
この4つのケースについての文例をそれぞれ用意しました。
知人、友人などに送るお礼状の文例
文例1
拝啓
年の瀬を迎えあわただしくなってきましたが、お変わりなくお過ごしのことと存じます。
このたびはお心のこもったお歳暮の品を、ありがとうございました。
とても新鮮なカニの贈り物には、子供たちも大変喜んでおり私たちも美味しくいただきました。
日ごろから何かとお世話になり、心から感謝しております。
これからはまだまだ寒くなるようなので、どうか体調にはくれぐれもお気をつけ下さいませ。
よい新年を迎えられますことをお祈り申し上げます。
敬具
文例2
拝啓
師走を迎え慌ただしくなってきましたが、ご家族の皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。
おかげさまで、こちらは変わらず元気に過ごしております。
さて、このたびは大変結構なお品を頂き、本当にありがとうございました。
早速ですが家族一同美味しくいただきました。
本日は、日頃の御礼と歳末のご挨拶代わりに、私の生まれ故郷の名産のお菓子を別便にてお送りしました。
心ばかりの品物ではございますが、ご笑納いただければ幸いです。
この寒気もさらに強まりそうですので、どうかご自愛いただき、よいお年をお迎えになりますようお祈りいたします。
敬具
特に堅苦しくない感じでちょうどいいと思いますが、あまりくだけすぎてもマナーがないので初めと終わりの挨拶ではきちんと相手の身体を気遣う言葉も必要だと思います。
また、「知人、友人などに送るお礼状の文例2」では、お返しの品を贈った場合でのお礼状として用意しましたので参考にして下さい。
先生、恩師などに送るお礼状の文例
文例1
謹啓
年の瀬もいよいよ押し詰まり、何かとご多忙の日々をお過ごしのことと存じます。
早いもので、結婚式から半年が過ぎようとしておりますが、お陰様で元気に過ごしております。
私どもの結婚に際しましては、いろいろとお世話になりましたこと改めてお礼申し上げます。
さて、このたびはお心のこもったお品を頂き本当にありがとうございました。
主人と早速美味しくいただきました。
こちらのほうが何かとお世話になっておりますのに、いつもお心にかけていただきまして感謝申し上げます。
寒い日が続きますが、どうかお身体を大切に。
皆様おそろいで輝かしい新年を迎えられますようお祈り申し上げますとともに、来年も変わらず暖かく見守っていただければ幸いです。
敬白
文例2
謹啓
寒冷のみぎり、○○様にはますますご活躍のこととお喜び申し上げます。
日頃は、公私に亘り多大なるご配慮にあずかり、心より御礼申し上げます。
この度は、誠に結構なお歳暮の品を贈り下さり、感謝の気持ちで一杯です。
いつに変わらぬお心配りには、大変恐縮いたします。
先生の贈り物には家族ともども大変喜んでおります。
これから寒さも本格的になりますので、十分ご自愛下さいませ。
略儀ながら、書中にてお礼申し上げます。
敬白
「先生、恩師などに送るお礼状の文例1」では、仲人の方を想定しての例文となっています。
また、先生や恩師など目上の方に宛てるお礼状では、「拝啓-敬具」の組み合わせよりも丁寧な「謹啓-敬白」の組み合わせを使うと良いと思います。
次回から断りたい場合の文例
毎年お歳暮を贈ってくれることは大変有難いことなのですが、毎回そのお返しが負担になってしまっている場合もあると思います。そんな時に相手に対して
「次回からの断りの旨」
ということを伝えたいけど、どのような書き方をすれば失礼にならないのか?
ということについての文例をいくつか用意しました。
文例1
拝啓
深冷の候、寒い日々が続きますが、皆様にはご健勝のことと存じます。
さて本日は、お心尽くしのお歳暮を頂き誠にありがとうございました。
○○様のお心遣いには常々恐縮しております。
せっかくのお気持ち大変有り難く存じますが、どうか今後はお気遣いなさいませんようお願い申し上げます。
勝手な申し出ではございますが、どうかお気を悪くなさいませんよう、なにとぞご了承のほどお願い申し上げます。
末筆ながら、ご健康を切にお祈り申し上げます。
敬具
文例2
拝啓
師走になり寒い日々が続きますが、ご家族の皆様もお健やかにお過ごしのこととお喜び申し上げます。
さて、この度は高価な品を頂き誠にありがとうございました。
ご丁寧なお心遣い誠に恐縮です。
せっかくのお気持ち大変有り難く存じますが、どうか今後はお気遣いなさいませんよう、お願い申し上げます。
寒さはこれからが本番のようですので、皆様どうぞご自愛ください。
敬具
断る際のポイントは、
といったような一文を入れることで、断る際にも失礼のないように心がけるといいと思います。
受け取りを断りたい場合の文例
これはどういうことかというと、公務員の人や日本郵政やNTT取締役などは職業上お中元やお歳暮などの受け取りが、人的関係によっては収賄になる場合もあります。
もし、そのような疑いが発生するかもしれない場合は断りのハガキを送らないといけません。また、公務員の方でなくとも会社の規定で禁じているといった場合もあります。
そんな時、どのような書き方をして断るようにすればいいのか?
ということについて文例を用意しました。
文例1
拝啓
師走の候、○○様におかれましたは益々ご健勝のことと存じます。
さて、この度は大変結構なお歳暮をいただき、心から御礼申し上げます。
しかしながら、勤務先の規定によりいかなる名目にであっても贈答、接待などを固く禁じられております。
これは皆様との公正性を保つため必要な措置でありますので、失礼とは存じますが何卒ご了承を賜りますようお願い申し上げます。
尚、お贈りいただきました品は、別便にて○○様宛にご返送させていただきました。恐縮ではございますが、お受取りくださいますようお願い申し上げます。
甚だ略儀ではありますが、恵贈品の返送のご連絡とお詫びを申し上げます。
敬具
受け取りを断りたい場合の文例2
拝啓
今年もいよいよ、残りわずかとなってきましたが、皆様お元気でお過ごしのことと存じます。
平素とかくお便りも差し上げず、申し訳なく存じております。
さて、この度は、お心尽くしのお歳暮の品をお贈りいただき、厚く御礼申し上げます。
実を申しますと、去年から勤務先が変わりまして、ご贈答に対してはすべて辞退するようにとの規則が設けられております。
こちらの都合で心苦しいのではありますが、何とぞご理解のほど宜しくお願いいたします。
尚、誠に勝手ながら、頂いた品は別便にて返送させて頂きました。
末筆となりましたが、書中にてお礼及びお詫びを申し上げます。
敬具
このようにしてお断りのお礼状を送れば大丈夫だと思います。
ただ、公務員の場合でもお歳暮を決して受け取ってはいけないということではなく、そのやりとりに利害関係が生まれて公務員の公平性がなくなったりすると問題になるということですね。
とはいっても、周りから見るといろいろと言われる可能性もあるため受け取っていない人も多いようですし、外資系企業なども結構厳しいようですね。
あとがき
お歳暮のお礼は知人や友人など親しい間柄であれば、電話やメールでもマナーに反しているとは感じられませんが、恩師や会社の上司や部下、ビジネスでのお礼状などでは失礼のないようにお礼状をお返しするのがマナーです。
以前の記事にも書いた、「お中元のお礼状」でもこれと同じような流れの書き方でしたが、きちんとポイントを抑えていれば極端におかしいお礼状にもならないと思います。
お歳暮といった贈り物に関して、時期やマナー、関東と関西の違いなど色々知っておくといいことがたくさんあります。
それらを詳しく別のページでまとめているので、よかったらこちらも参考にご覧になってください。>>お中元とお歳暮の時期や関東関西の違いは?どこまでおくる?
>>お歳暮を贈る時期はいつからいつまで?マナーや関東関西では?
>>お歳暮のマナー/喪中の場合は?のし紙や送り状の書き方は?
>>お歳暮の送り状の書き方は?上司や恩師、親戚へ向けた文例!
お礼状のマナーとしては書き方もそうですが、もう一つ大切なのは
そうでないと、相手側も、
- きちんと届いたのだろうか?
- なにか気に障ったのだろうか?
と不安になってしまいます。
贈った側も贈られた側も、気持ちよく良好な関係が続けられるようにお互いに配慮していきたいですね。